中日が今季国内FA権を取得した西武炭谷銀仁朗捕手(27)の獲得調査を行っていることが2日、分かった。この日2年連続Bクラスで今季を終了した中日にとって、常勝軍団再建へ向けてポスト谷繁の補強は急務の課題。そこで西武の正捕手として実績のある炭谷に白羽の矢を立てた。

 今季は谷繁兼任監督が指揮官と正捕手の2役を務めたが、激務に加えて故障も発生。横浜時代の95年以来、19年ぶりの出場100試合割れとなった。監督は後進育成の意味も込めて松井雅や武山を積極起用。だが第2捕手の座を射止める選手は出てこなかった。来年12月で45歳を迎える年齢を考えても、ポスト谷繁の確保は急務の課題。球団は育成から補強に切り替え、課題を解消する狙いだ。

 炭谷は高卒1年目の06年からスタメン出場して着々と実績を重ね細川が移籍した11年からは扇の要に定着。安定したインサイドワークと強肩を武器にした高い盗塁阻止率で、13年はWBC日本代表にも選ばれた。経験豊富にしてまだ27歳という若さも魅力。来季V奪回の中核となるばかりか獲得できれば捕手は10年安泰の安定感も生まれる。

 ただしFA宣言すれば捕手を求めるチームとの争奪戦は必至の情勢だ。中日サイドも炭谷を口説き落とすための好条件、好待遇を用意。01年オフに横浜から谷繁をFAで獲得した時と同じく、4年以上の年限と5億円以上を準備するとみられる。ゴメスや小田らすでに大量14人を解雇した球団は、捕手以外にも投手陣をはじめとする補強に積極的に乗り出す方針だ。

 ◆炭谷銀仁朗(すみたに・ぎんじろう)1987年(昭62)7月19日、京都府生まれ。平安(現龍谷大平安)から05年高校生ドラフト1巡目で西武入団。06年に高卒新人捕手では谷繁以来17年ぶりの開幕1軍を果たし、同51年ぶりとなる開幕スタメンでデビュー。09年涌井と最優秀バッテリー賞に輝き、12年ゴールデングラブ賞。180センチ、93キロ。右投げ右打ち。家族は夫人と1女。今季推定年俸は7700万円。