ヤクルトが再建に意欲を燃やす新監督の願いをかなえるべく、ドラフトで「真中枠」の導入を決めた。8日、来季新監督に真中満現チーフ打撃コーチ(43)が就任すると発表。年俸7000万円(推定)の3年契約を結んだ。都内での会見で、真中新監督は投手補強を要望したと明かした。衣笠剛球団社長兼オーナー代行(65)は、23日のドラフト会議では指名選手を例年より最大2人増やし、投手を大量指名する考えを示した。

 真中新監督が、さっそく「ご祝儀」をゲットした。就任会見では、キーマンに指名した山田ら3割打者が5人いながら、12球団ワーストの防御率4・62で2年連続最下位となった点に着目。「投手力が劣っていると感じる。守備も含めてディフェンスが大事。いい投手をいっぱいほしいなあ、という話をしました」と、衣笠社長に投手補強を要望したことを明かした。

 再建を託した新監督の“おねだり”に、球団トップもすぐに反応した。衣笠社長は「良い選手がいての話だが、今回のドラフトは1人もしくは2人多く指名し、その分投手を指名したい」と明言した。過去10年の指名選手数は平均6人(育成を除く)。今年は「真中枠」を足した8人前後とヤクルトにしては、異例の大量指名もありえそうだ。

 「真中枠」を生かすためにも熟考を重ねる。この日午後のスカウト会議で、1位候補は早大・有原と済美・安楽の2投手が中心と確認。指名選手リスト47人中、京大・田中や西日本短大付・小野ら投手が約半数を占めた。直前まで指名選手を決めず戦略を練る方針で、鳥原チーフスカウトは「候補が少ない中でどうするか。勝つために必要な投手を集める」と力を込めた。

 FA戦線への積極参戦も約束されるなど、全面バックアップを取り付けた。だからこそ、真中新監督は3年契約ながら「チーム一丸となって、必ずやいい方向に持っていけると確信しています。1年目とは思っていない。覚悟して勝負したい。もちろん優勝を目指す」との決意を示した。「できない理由を探すな」が座右の銘の新監督は、18日の秋季練習から、妥協なき1年を始める。【浜本卓也】