巨人が来季新調するビジター用ユニホームの胸文字を「TOKYO」に変更することが1日、明らかになった。胸文字に地名が入るのは、02年7月以来13年ぶりとなる。東京を本拠地とし、日本を代表するプロスポーツチームとして、世界中に「TOKYO」を発信する狙い。20年には東京五輪が控える。フランチャイズの枠を超え、スケールの大きなチーム像を築く。

 「TOKYO」を胸に新たなジャイアンツの歴史が始まる。球団創設80周年の大きな節目を終え、ユニホームを一新して迎える来季。原監督が「自分の中では『元年』として位置づける」と話すように、心機一転リーグ4連覇&日本一奪回に挑む。伝統を紡ぎつつ、新たなジャイアンツ像を構築するために…、の議論を重ねる中、ビジターユニホームの胸文字変更がアイデアとして出され、具体化に至った。

 いち球団の枠を超えた、大きな視野が背景にある。過去にも採用した時代があったが、今回の変更について球団関係者は「東京を本拠地とする意味での、単なるフランチャイズ(地域権)を表す変更ではない」と明かした。プロスポーツ界の雄らしい志が、ぎっしり詰まっている。

 今季、主催試合の観客動員総数が301万8284人に達した。1試合平均で4万人を優に超える興行を打ち続けることは、価値観が多様化している現代では驚異的といえる。世界のプロスポーツを見渡しても上位で、米大リーグ・ドジャースの観客動員総数にわずかに及ばなかったものの、シーズン最終盤まで「動員世界一」を激しく争った。「TOKYO」は、世界に打って出る決意表明でもある。

 同時に、球団の枠を超えたメッセージも込められている。20年に東京五輪が行われる。前出の関係者は「日本と、日本を象徴する都市である東京を、世界中の方々に知ってもらいたい。少しでもジャイアンツがお手伝いできたら、の願いがあります」と説明した。青いビジターユニホームに「TOKYO」が躍り、国民的行事へ向かう一体感、高揚感のアップに一役買う。

 ホームの「GIANTS」にビジターの「TOKYO」。新ユニホームは今月下旬にお披露目の予定だ。