コンちゃんと一緒に頑張ってます!

 阪神先発4本柱の一角、岩田稔投手(31)から、米アリゾナ州で取り組む自主トレの近況が届いた。何と13年に所属したブルックス・コンラッド内野手(35)との“合同トレ”。かつての同僚助っ人から刺激を受け、自主トレのテーマに掲げる尻回りの強化も順調。勝負のプロ10年目に視界良好だ。

 岩田はアリゾナの青空を眺めながら、13年鳴尾浜の記憶をよみがえらせた。

 岩田

 コンちゃんはめちゃくちゃ真面目だったから。1軍に上げてもらえない状況でも腐らず、一生懸命練習していた。そんな姿勢は今も変わらない。

 アリゾナのジムで毎日、一緒に体を鍛える仲間。ブルックス・コンラッドだ。13年に阪神でプレーしたが、不振で5月末に2軍降格し、9月中に帰国。昨季はパドレスでメジャー昇格を果たしながら故障もあって戦力外となった。現在は米国、日本問わずオファーを待っている状態だ。

 岩田も13年はわずか2勝に終わったシーズン。長い2軍生活に思い悩んだ時、助っ人の謙虚な姿勢から力をもらった。「あの時は投げる度に打たれていたから…。コンちゃんとはアリゾナでもよく話をするよ」。厳しい状況でも弱音を吐かず黙々と体を鍛える。元同僚の背中を見れば、トレーニングにも力が入る。

 尻回りの強化をテーマに渡米し、まもなく2週間。午前中から内容を凝縮させたメニューを3、4時間で一気に消化する「米国流」にも慣れた。「本当にキツい」。厳しい体幹トレーニングに顔をゆがめ、合間には間髪入れずインターバル走を敢行。トレーニングの効果をキャッチボールで意識する毎日だ。

 岩田

 尻回りのトレーニングをした後にキャッチボールすると、フォームの流れがいい。メカニックがスムーズという感じ。

 昨季は低い重心から重いボールを投じるスタイルに改良し、リーグ2位の防御率2・54で9勝と復活。「左足にたまったパワーをゆっくり右足側、ボールに押し込んでいけるように」。今オフは尻回り、股関節の強化から、さらなる進化を狙う。

 岩田

 まだ、ボールが行く時と行かない時がある。次は尻回りを意識したらいいボールを投げられる、ではなく、無意識にいいボールを投げられるようにしたい。自然と尻回りを使った投げ方ができれば、だいぶ変わる。ボールの押し込みが強くなると思う。

 真の柱になる-。強い決意を胸に抱いてスタートした1年、滑り出しは順調だ。【佐井陽介】

 ◆ブルックス・コンラッド

 1980年1月16日、米カリフォルニア州生まれ。01年ドラフト8巡目でアストロズに入団。アスレチックス、ブレーブス、ブルワーズ、レイズを経て、13年阪神に移籍。オープン戦でチーム1号や満塁弾を放つなど長打力を発揮。開幕ヤクルト戦では7番三塁でスタメン出場し、2二塁打で勝利に貢献した。その後は打撃不振で24試合、打率1割7分5厘、本塁打と打点はゼロに終わり、5月末の2軍降格から1年で退団。14年はパドレスでプレーした。メジャー通算293試合で打率2割、19本塁打、73打点。178センチ、86キロ。右投げ両打ち。

 岩田は13年、わずか9試合登板、2勝5敗で防御率4・95と振るわなかった。