【ホノルル(米ハワイ州)17日(日本時間18日)=浜本卓也】巨人大田泰示外野手(24)が「マン振り封印」で覚醒する。終盤に見せた打撃を評価され、今季は4番候補にと期待される。長打力も買われているのは承知しつつ、「確実性を高めたい。変なマン振りはいらない」と力を込めた。

 これまでは「思い切り振る」を主眼とした。だが長打と同時に多くの三振や空振りも生み、昨季は出場44試合止まり。原因を突き詰めた。「空振りしたらボールが前に飛ばない。前に飛ばないと安打や本塁打にもつながらない」との事実にたどり着いた。「100回に1本すごい本塁打を打つより、30安打を打てるよう努力したい。その中で本塁打が出ればうれしいし、貢献できる」と結論づけた。

 思考の変化は、自主トレでの練習にも表れた。マウンド手前からトスしてもらっての打撃練習を始めると、大柄かつ引き締まった体格を見た約20人の観客から「ホームラン!」の合唱が起きた。だが、大田は動じなかった。「体の内側からバットを出す。センター前を意識して、少し角度が上がれば本塁打になる」。冗談半分のブーイングが大きくなろうが、コンパクトなスイングで低弾道のセンター返しを繰り返した。

 約10球後、球場が静かになった。角度のついた打球が左中間フェンスを越えた。観客は拍手と歓声でたたえ、満足げに引き揚げた。「当てに行くのではなくて、しっかりコンパクトに振り抜くことが自分のフルスイング」。マン振り封印が、188センチ、95キロの体から生み出されるパワーを最大限に生かす近道にもなる。

 自主トレ前の朝には、ホノルルの町を約20分間ランニングした。「時間がもったいないから」。4連覇へのキーマンの1人は、燃えるような太陽の下、無駄のない日々を過ごしている。