<東都大学野球:中大5-1東洋大>◇第1週最終日◇3日◇神宮

 中大が東洋大に快勝、勝ち点1とした。中1日で先発した島袋洋奨(ようすけ)投手(2年=興南)が7回4安打11奪三振と快投。1日の1回戦で延長15回226球完投した疲れも感じさせず今季2勝目を挙げた。今季2戦で32個の三振を積み上げ、通算奪三振も106と3ケタに突入。10年春夏甲子園を連覇したトルネード左腕が、大学2年目でいよいよ猛威を振るいだした。

 島袋が毎回11奪三振と再び快投した。5回のソロ本塁打以外は二塁も踏ませない。すべてセットポジションから投げた。「感じが良かったし、短い期間で変えるのもどうか」と21三振を奪った1回戦の3回からのスタイルを貫いた。前回同様に走者なしでもクイックを入れ、単調には投げなかった。

 通算奪三振は100を超えた。1年時も3度2ケタ奪三振を記録、奪三振率8・96と低くないが、今季は13・09。32三振中26個が空振りだ。昨年より直球の力と、変化球を内外低めに集める精度が増した。「リーグ戦までの準備ができている」。元来投げ込んでつくるタイプ。新人だった昨年は、不安のあった肩や肘を考慮して投げ込み不足でスタミナもなく、2巡目につかまったことも多かった。今年は投げ込みで良いときの指のかかりを認識。大学有数と言われる過酷な走り込みもこなし、下地をつくった。

 打撃自慢の相手打線の大振りも目立ったが、元中日野手の秋田秀幸監督(56)は「初速と終速が変わらないから思ったよりパッときて打者が振る。あとツーシーム。あれでタイミングも合わない」と奪三振ラッシュを分析する。

 疲労すら力にした。15回完投の翌2日はベンチを外れ、寮に近い東京・多摩市内のスーパー銭湯へ。温水4分、水風呂1分と繰り返し回復に努めた。軽い体の張りが残るも「必要以上に力を入れずバランス良く投げられた」という。7回で降板を申し出る冷静さもあった。「相手のタイミングが合ってきた。自分の結果だけ求めたら何が起こるか分からない」。2季連続開幕投手の昨年はともに1、3回戦で敗戦。三振数よりチームの白星を増やした。

 東都の通算奪三振記録410、1季最多115は東洋大・大場翔太(現ソフトバンク)が持つ。今後に期待を抱かせるが「三振は意識していません。調子がいい分、取れてるだけ」と淡々と話した。【清水智彦】

 ◆島袋洋奨(しまぶくろ・ようすけ)

 1992年(平4)10月24日、沖縄県宜野湾市生まれ。嘉数中から興南に進学し、甲子園は2年春からエースとして4季連続で出場。3年時には沖縄勢で初めて夏の甲子園を制し、史上6校目の春夏連覇。甲子園通算13試合11勝2敗、防御率1・63。家族は両親と兄、姉。173センチ、71キロ。左投げ左打ち。