<東都大学野球:亜大3-1中大>◇第1週第1日◇7日◇神宮

 今秋のドラフトで1位候補に挙がる亜大・山崎康晃投手(4年=帝京)が開幕戦で完投勝利を収め、6季連続優勝へ好スタートを切った。中大相手に5安打1失点、10三振を奪い、先勝した。日米14球団、55人以上のスカウトが集まる中、エースにふさわしいピッチングを披露した。

 3回。亜大・山崎は4番小川への3球目に147キロの直球を投じた。「おっしゃー!」。この日最速のボールがミットに収まった瞬間、雄たけびが響き渡った。3者連続三振に仕留めると、9回まで10個の三振を積み上げた。

 初の開幕投手に序盤は力んだ。初回。先頭打者へ投じた145キロの直球が高めに入り、左翼フェンスを直撃した。「打たれたくないと思いすぎました」。無失点で切り抜けたが、2回も先頭打者に三塁打を許し四球も絡んで失点。「自分のペースで運べなかった」と振り返ったが、エースはすぐに切り替えた。

 修正能力の高さを見せた。生田勉監督(47)の「緩いボールを使いなさい」という助言もあり、3回以降はカーブを取り入れた。緩急がついたことで直球が生き、リズムを取り戻した。「悪いなりにコントロールして投げられました」。1月から、部屋にソフトバンク東浜、広島九里の投球写真を張り、偉大な歴代エースの姿を焼き付けた。中日落合GMら、全球団のスカウト陣が集結する中で、頭を使った投球術を披露した。

 我慢の投球に仲間もこたえた。1-1の9回、長谷川頌磨外野手(3年=天理)の公式戦初アーチで勝ち越し。新エースの勝利を後押しした。生田監督は「胃が痛かったです。山崎にとっては非常に勉強になった試合になったのでは」と一定の評価を与えた。苦しくも開幕戦をものにした亜大が、75年ぶり史上2校目の6季連続優勝に向けて、前進した。【和田美保】

 ◆山崎康晃(やまさき・やすあき)1992年(平4)10月2日、東京生まれ。帝京から亜大に進学し、リーグ通算9勝2敗。昨秋の明治神宮大会は抑えで日本一。最速151キロ。177センチ、72キロ。右投げ右打ち。