プロ野球のドラフト会議がいよいよ28日、東京都内のホテルで行われる。今夏の甲子園で自己最速145キロをマークした旭川実の成瀬功亮投手(3年)も期待を胸に秘め、指名を心待ちにしている。

 運命の日が近づいた。旭川実の右腕成瀬は、学校グラウンドで体力強化の日々が続く。ドラフト会議に向け「期待と不安が半分」と話しながら「トップレベルの選手が集まるところで鍛えて、少しでも自分のものにしたい」。野球を始めた小学3年からの夢、プロ入りに思いをはせた。

 注目度を一気に上げたのが今夏の甲子園だった。敗れた1回戦(対佐賀学園)でリリーフ登板。背番号10ながら、自己最速を更新する145キロを記録し、潜在能力の片りんをうかがわせた。「負けたのは悔しかったけど、今まで以上の力を出せ、自分にとっては大きな試合だった」。

 プロ志望届を日本高野連に提出したのは10月4日。旭川永山西小5年だった03年、祖父勲さん(享年69)が天国へ旅立った命日に合わせた。少年野球時代は応援のため野球場に足を運んでくれて、熱心に写真撮影もしてくれた祖父で「小さいとき一緒にプロ野球を見ていた」。天国へのプロ入り報告を願っている。

 最速145キロ右腕には、ソフトバンクなど数球団が興味を持ち、調査書は巨人1球団に提出している。仮に指名がなければ道内の大学受験を予定するが「取ってくれる球団があるのなら、そこで精いっぱいやりたい」。巨人は育成枠での指名を含め熱視線を送っている。

 育成ドラフトでの指名なら両親、岡本監督らと相談になるが「自分としては育成でも何でも行きたいと思っています」と強い意欲を持っている。小中高を通じ、投手としては2番手のポジションが続いた成瀬の野球人生だが、努力の末に迎えるドラフト会議。スポットライトを浴びる可能性を十分に秘めている。【村上秀明】