仙台育英高の佐藤貴規外野手(17)が今日9日、育成ドラフト3位選手としてヤクルトの入団会見に臨む。同球団の先輩、兄由規投手(21)が高校卒業まで過ごしていた部屋で、貴規も高校3年間を過ごした。そして自身もプロの世界へ-。その「出世部屋」に潜入してみた。
3畳一間が好きだった。08年1月。部屋の主、由規が東京へ巣立った。兄がプロ野球選手になった。中3だった貴規。即座に、その部屋に引っ越した。
まるで野球博物館のようだった。後に日本人最速161キロを記録する投手が育った部屋にしては少々、窮屈さはある。所狭しと野球関連グッズが置いてあった。壁にはレッドソックス松坂の西武時代の色紙。東北高時代の日本ハム・ダルビッシュのサインもあった。
父均さん(50)は「あそこは出世部屋なんです」と話す。兄が使ったままの状態で高校3年間を過ごした。入学当初は投手だったが打撃力を買われ、野手に転向した。路線変更後もプロの道をあきらめなかった。帰宅後もバットを振り続けた。“出世部屋”には由規が高校時代につけていた背番号1と、日本選抜の名札が飾られていた。兄の背中が常に刺激を与えていた。
変わったのは、ぬいぐるみの数だけ。「兄も集めてましたが僕も増やしました。いくつか(ヤクルトの)寮にも持って行きたい」。兄が帰省すると、この部屋で一緒に夜を明かしたこともあった。貴規は「自分は寝たいんですけど、笑わせたり歌ったりしてくるんですよ~」とうれしそうに振り返った。
いよいよ兄と同じ舞台に立つ時が来た。目先の目標は「1日でも早く支配下に登録されること」。今度は兄の背中がすぐ近くにある。3畳一間の出世部屋から兄を追って巣立つ。【三須一紀】



