プロボクシングのWBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司(31=帝拳)が、11月21日(日本時間22日)に米ラスベガスのマンダレイ・ベイホテル&カジノで5度目の防衛戦を行うことが11日、発表された。同級1位で23戦無敗の指名挑戦者フランシスコ・バルガス(30=メキシコ)を迎え撃つ。世界的にも注目度の高い大型興行で、秋田生まれの「倒し屋」がスターの階段を駆け上がる。

 会見で三浦は興奮を隠しきれなかった。「昔は世界王者になるのが夢。なってからの夢はラスベガスだった。不安はない。話を聞いた瞬間に気合が入った」。敵地メキシコに乗り込んでのV1戦から、世界ランク2位、1位、元世界王者と強豪を続けて撃破してきた。そして初の本場米国でのタイトルマッチだ。過酷な防衛ロードを乗り越えてきた自負がある。ビッグチャンスをものにする、そんな熱い野心が引き締まった表情からにじみ出た。

 最高の舞台だ。興行のメーンはWBC世界ミドル級王者コットと前WBA、WBC世界スーパーウエルター級王者アルバレスのビッグカード。会場には世界中のボクシング関係者が集結する。そこで豪快なファイトを見せれば、三浦の価値も急騰する。帝拳ジムの浜田剛史代表も「今回は1試合で何試合分も価値がある。世界的な選手になれるかがかかっている」と期待を込めた。

 迎え撃つバルガスは北京五輪にも出場した好戦的な実力者だ。強打が自慢の三浦も「かみ合うと思うし、自分も打ち合うつもり。派手な試合をして、KOで勝つだけ」。目の肥えたファンを熱狂させる“殴り合い”を予告した。

 担当する葛西裕一トレーナーも思いは同じだ。「秋田から出てきた男が拳1つでラスベガスの舞台をつかんだ。世界中に三浦の強さと豪快さを見せつけたい」。会見を終えた三浦は、千葉県内での走り込み合宿に直行した。下半身作りから、米国殴り込みの準備をスタートする。【奥山将志】

 ◆三浦隆司(みうら・たかし)1984年(昭59)5月14日、秋田県三種町生まれ。金足農時代に国体ライト級優勝。03年プロデビュー。09年日本スーパーフェザー級王座獲得。11年WBA同級王者内山に挑戦も8回TKO負け。13年にWBC世界同級王座獲得。169センチの左ファイター。

 ◆日本人世界王者の2カ国での防衛 元WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃のみで、三浦は勝てば2人目。西岡は09年5月のV2戦でメキシコに渡り、地元のスター、ゴンサレスと対戦。不利の予想も、3回に強烈な左ストレートを顎に打ち抜きKO防衛。その後、11年10月のV7戦を米ラスベガスで行い、マルケスに判定勝ち。日本人で初の米国本土での防衛に成功した。

 ◆日本人王者の海外防衛 初めて成功したのは、85年12月に韓国で勝利した渡辺二郎。その後、西岡が09年5月にメキシコ、11年10月に米ラスベガスで成功。13年8月には三浦がメキシコで、同年11月には亀田興が韓国で勝利した。14年7月に米ラスベガスで防衛に成功した亀田和まで、現時点で5人。