ボクシングのWBC世界ミドル級5位村田諒太(29=帝拳)が、11月7日(日本時間8日)に米国デビューすることが正式決定し、21日に都内の所属ジムで会見した。ラスベガスのトーマス&マックセンターで、元世界ランカーのガナー・ジャクソン(ニュージーランド)と対戦する。試合は世界的に注目度の高い大型興行に組み込まれ、世界挑戦に向けた重要なアピールマッチとなる。村田はKOの意味をかみしめるように強い決意を語った。

 村田はプロ8戦目の意味を「第2のデビュー戦」と表現した。世界挑戦を目指す上で、ここから先に求められるのは、存在をアピールしていくことに尽きる。米国デビュー戦で対戦するジャクソンは31戦のキャリアでKO負けは1度もない。「タフだと思うが、KOを狙う意味があると思う」と言い切った。

 最高の舞台が用意された。会場は多くのビッグマッチが行われてきた約2万人収容のトーマス&マックセンター。メーンはWBOウエルター級王者ブラッドリーに人気者リオス(ともに米国)が挑む激闘必至の一戦で、村田と同じロンドン五輪金メダリストのWBOフェザー級王者ロマチェンコ(ウクライナ)も名を連ねた。村田も「歴史のある会場で、そういうメンバーと同じ舞台に立てるのはうれしい」と高まる思いを口にした。

 早期の世界戦実現を期待されるが、目線はしっかりと足もとを見ている。ミドル級で最強と称される3団体統一王者ゴロフキン(カザフスタン)でさえ、世界王者になるのに4年以上を要した激戦階級。「焦らないことが必要。僕は僕の進むステージを見極めてやっていきたい」。オーバーワークで右肩を痛めた7月からはハンマー投げの室伏広治に師事し、効率的な体の使い方を習得。高いモチベーションで準備を進めてきた。

 公開したスパーリングでは米国で有効とされる遠い距離からのジャブを効果的に使い、ペースを握った。得意の右ストレート、左ボディーも健在で、メリハリの利いた攻撃で仕上がりの良さを印象づけた。本場へ殴り込みをかける一戦で、世界挑戦の礎を築くつもりだ。【奥山将志】

 ◆日本選手とミドル級 世界初挑戦は95年12月にWBA王者カストロ(アルゼンチン)を破って王座を獲得した竹原慎二。竹原は半年後の初防衛戦で9回TKO負けし王座陥落した。その後は、02年に保住直考、09年に佐藤幸治がともにWBA王者に挑戦したが王座獲得ならず。12年5月には石田順裕がWBO王者に、淵上誠もWBA王者に挑んだが敗れた。石田は13年に現3団体統一王者ゴロフキンに2度目の挑戦も、王座獲得はならなかった。