【米ラスベガス5日(日本時間6日)=奥山将志】プロボクシングのWBC世界ミドル級5位村田諒太(29=帝拳)が、7日(同8日)に行われるガナー・ジャクソン(29=ニュージーランド)との米国デビュー戦に向け、ラスベガス市内のホテルで開かれた公式会見に臨んだ。各国の報道陣が集結する本場の雰囲気を楽しむ一方で、用意された会見の席が2列目の端だったことに発奮。「いつかはセンターに行きたい」とさらなる飛躍を誓った。

 報道陣や関係者約200人が詰めかけた公式会見。「ベストを尽くすことを約束します」と、流ちょうな英語であいさつした村田は、本場の空気に対する高揚感とともに、反骨心を抱いていた。前後2列にいすが並べられた壇上で、用意された席は後列の端。前列には、同じ興行で世界戦を行うWBOウエルター級王者ブラッドリー、2階級制覇を狙うリオス、ともに12年ロンドン五輪金メダルを獲得したWBOフェザー級王者ロマチェンコが顔をそろえた。会見を終えると、いの一番に自ら切り出した。

 「すごく良い経験になったし、気持ちも高ぶった。ただ、自分が座っていた席は端っこ。いつかはあのセンターに行きたいし、彼らに早く追いつきたい」。プロ8戦目で迎えた米国デビュー戦。世界挑戦をたぐり寄せるための「名前を売る」という目的を、目に見える形で再認識した。

 今後のキャリアにとっても重要な意味を持つ試合だけに、過去にないほど丁寧に準備を進めてきた。以前は「得意なパンチを2回見るぐらい」だった相手の研究を徹底。長いラウンドの映像を見ながら、感じたことをメモに取り、緻密な攻略法を錬ってきた。スパーリングは過去最多の70回を消化。対戦するガナー・ジャクソンは「タフな選手」だが、倒すイメージを作り上げ「プラン通り、それを実行するだけ」と迷いなく言い切った。

 夕方には試合前最後となるジムワークで汗を流した。万全の仕上がりと確かな自信は、明るい表情ににじみ出た。「五輪からプレッシャーだらけだったが、今は初めて試合が楽しみに思える。来るべき時に米国に来たと思っている。この試合に勝てば、一段上に行けると思う」と力を込めた。明確な目標を胸に、勝負のリングに立つ。