【ロサンゼルス7日=千歳香奈子通信員】ボクシング世界タイトルの5階級制覇を達成したフィリピンのマニー・パッキャオ(30)が、母国との間で新型インフルエンザをめぐるバトルを演じている。2日にラスベガスで新たなタイトルを獲得したパッキャオに対し、フィリピン保健省は感染拡大を防ぐため米国からの帰国延期を要請。しかし、パッキャオは、予定通り凱旋(がいせん)パレードが予定されている8日に帰国するとフィリピンのメディアに宣言した。
ラスベガスのMGMグランドで2日に行われたIBO世界スーパーライト級世界タイトル戦で、挑戦者のパッキャオは、王者リッキー・ハットン(英)を2回2分39秒にKOで下した。1回に2度ダウンを奪い優勢に立ち、2回の一撃で決めた。新たなベルトを手に、帰国するばかりとなった王者の元に、思いもしない連絡が入った。
母国の保健省から異例の通達が6日になって届けられた。「新型インフルエンザの感染拡大を防ぐため、試合後に家族と滞在しているロスに5日間ほど滞在を続けてほしい」。同時に8日のパレードを11日に延期し、同国アロヨ大統領との面会も来週以降に延期することを一方的に決定されていた。パッキャオが8日に帰国を強行した場合も、マニラ市内の自宅に5日間隔離する方針も同時に伝えられた。
こうした母国の対応にパッキャオは激怒。ロス市内でマニラのテレビとラジオのインタビューに応じ、自分たちはインフルエンザには感染していないと主張。「(感染を予防する)十分な対策を取ってきた。健康なのに、なぜ隔離される必要がある?」とコメント。予定通りに8日に帰国すると語った。
8日に迫った王者の帰国について、フィリピン政府は「帰国を阻止することはできない」と語っている。しかし、空港での出迎えには最低でも1メートル以内には近づかず、握手やハグをしないよう求めている。政府は「要請はパッキャオに限らず、ロサンゼルスからのすべての旅行者を対象としたものである」としている。
フィリピンでは新型インフルエンザ感染者は確認されていない。疑いがあった5人中3人が陰性だったとされている。近隣の香港では感染者が滞在したホテルの宿泊者を“監禁”するなどの事態に発展している。また、米疾病対策センター(CDC)によると、米では6日現在で死者2人、感染者は41州で642人と、前日より239人増えている。


