<戦極第十陣:ライトヘビー級ワンマッチ>◇23日◇さいたまコミュニティアリーナ
アテネ五輪柔道90キロ級銀メダリスト泉浩(27=プレシオス)が総合格闘技デビュー戦で完敗した。アンズ・“ノトリアス”・ナンセン(26=ニュージーランド)に打撃戦を挑むも猛攻を受け、2分56秒でKO負けした。
柔道家・泉の面影は、戦極のリングにはなかった。「最初から脱ごうと思っていた。これが総合格闘技だから」と柔道着は脱いだ。「スタンド(立った状態)から始まるし、できないと言われるのが嫌だった」と得意の寝技は封印し、果敢に打撃戦を挑んでいった。
現実は厳しかった。開始直後からナンセンの猛攻に防戦一方。2分にはパンチの連打でダウン。よろめきながら立ち上がったが、2分56秒、最後は右ストレートでリングに沈んだ。血に染まった白いタオルで鼻を覆いながら顔をはらして控室へ。「想定内の実態です」と敗北を受け入れた。
準備期間が短すぎた。総合格闘家転向を表明して、わずか2カ月半。それでも太もも周り73センチの足を生かした蹴りに自信を持っていた。頭蓋(ずがい)骨が他人より厚いと言われ、打たれ強いという見方もされていた。だがガード技術が未完成で、潜在能力を出す前にダメージを受けすぎた。「もっと防御を高めて、打たれないで打つことを心がけてやっていかないと」と課題を口にし、「こういう殴り合いは1回で十分」と苦笑した。
戦極では92年バルセロナ78キロ級金の吉田、00年シドニー81キロ級金の滝本と、五輪柔道メダリストが総合格闘技デビュー戦を白星で飾ってきた。この日発表された大みそかの大会でデビューする北京五輪金の石井の前に「連勝」は途切れてしまった。それでも泉は「良いところも悪いところも見つかった。殴り合いは初めてだしこれから消化して頑張りたい」と、黒星を良薬にすることを誓った。【浜本卓也】

