<プロボクシング:WBA世界スーパーウエルター級暫定タイトルマッチ12回戦>◇29日◇大阪府立体育会館

 暫定王者の石田順裕(34=金沢)が、初防衛に成功した。挑戦者の同級15位オネイ・バルデス(34=コロンビア)から10回にダウンを奪うなど、最大11ポイント差をつける3-0の大差判定勝ち。34歳4カ月での世界王座防衛は、内藤大助に次ぐ国内2番目の高齢記録となった。次戦は正規王者ユーリ・フォアマン(ベラルーシ)との統一戦が目標で「正規王者」を目指す。石田の戦績は22勝(7KO)5敗2分け。

 石田は10回にバルデスの左ジャブをかわしながら、右ストレートを打ち込みダウンを奪った。KOは逃したが最大11ポイント差の圧勝。「パンチ1発ももらわずに正月から酒を飲みたいと思ったけど…。いっぱいもらいました」と振り返った。

 8月に念願の「世界王者」になった。だが、その前には「暫定」の2文字が付く。「王者になったら何か変わると思っていたけど、何も変わらなかった」。真の王者になるまでは…。王座奪取後は本格的に筋力トレーニングを始めた。サボりがちだったロードワークも、しっかりこなした。胸囲は4カ月で3・5センチアップした。

 「盟友」の思いに応えたかった。11月に近大の同級生である藤谷トレーナーが入院した。ミット越しにパンチを受け続けた右ひじは骨が粉々だった。「変形性関節症」と診断され、内視鏡手術。だが12月になると、担当医に練習を禁じられながら「世界戦は一緒に戦う」とミットを持った。石田は「負けるわけにはいかない」と気合が入った。

 34歳4カ月での世界王座防衛は、34歳8カ月の内藤大助に次ぐ国内歴代2位。同級では30年ぶりとなった。ジム関係者によれば次戦に向けて、正規王者フォアマン陣営と交渉に入ったという。「統一戦をやってもらえるなら、どこへでも行く。絶対に勝って、真の王者になるだけ」。試合後、取り囲んだファンに石田は「チャンピオン」とサイン。そこに「暫定」の文字はなかった。【近間康隆】