総合格闘家・石井慧(23=アイダッシュ)がアントニオ猪木公認の「イノキボンバイエ」入場で勢いをつける。25日のDREAM16(日本ガイシホール)でミノワマン(本名・美濃輪育久、34=フリー)と対戦、約9カ月ぶりに日本のリングに復帰する。24日、名古屋市内での前日計量に臨む前、ひそかにアントニオ猪木(67)のもとを電撃訪問。猪木のテーマ曲での入場を認められ、最後は強烈なビンタで闘魂注入された。石井が燃える闘魂をみなぎらせ、国内初勝利をもぎ取る覚悟を決めた。

 必勝しかないミノワマン戦を直前に控え、石井は師と仰ぐアントニオ猪木を訪ねた。深々と頭を下げ、握手を交わして着席。低姿勢でお願いを始めると、猪木から気合を入れられた。

 石井

 今日は試合に向け、アドバイスをいただきたいと思いまして。

 猪木

 オマエ、つまらなくなったな。ホラ吹いてくれよ。面白いヤツと思っていたのにな。女の子がやるような格闘技をするんじゃないんだろ。ホラ吹けよ。

 石井

 はい!

 猪木

 前は「猪木がなんぼのもんじゃい」って言っていたろ。勝負なんだから、敵の目ん玉をひんむくぐらいの覚悟でいけよ。「もう石井、帰ってくれ」とお客に言われるぐらい元気になれ。おい、いい先輩がいて良かっただろ。

 石井

 はい!

 運がいいです。少し運がよくない時もありますが…。

 猪木

 ジャケット(柔道着)は着るのか。

 石井

 着ないです。ニプレスは付けます。あの、50周年記念ということで、猪木さんのテーマ曲を次の試合で使っていいですか。

 猪木

 お前、聞いたことないだろ。

 石井

 聞いたことあります。以前、猪木さん信者のDVDを借りて見まして、聞きました。

 猪木

 これだけ浸透した曲だからな。それでいい試合してくれれば、と思う。

 石井

 勝ったら1、2、3、ダーもしていいですか。

 猪木

 サッカー選手でもやってるんだから。やっていいよ。デビューした当時は荒っぽい選手も、みんな基本をやりすぎて、もともと持っているものが消える。今、暴れるヤツがいないからね。暴れてほしい。結婚してないよな。

 石井

 しました。

 猪木

 子供はいないのか。勝ったら子供作れよ。結婚はした方がいい。嫌なら別れればいいんだからな。相手は経験豊富な選手だ。金メダルのプライドを捨てる気持ちで、意識をビシっと変えてほしいよな。

 石井

 闘魂注入してください!

 猪木

 大丈夫か。最近、(ビンタで)歯が折れたヤツもいたが。20年ぐらいの歴史があるが(参議院)議員のころ、最初にやられたヤツは4~5メートルも吹っ飛んだ。翌日は政治家が暴力を振るったと書かれたもんだ。予備校では、列になってもらった予備校生が全員合格したんだ。頭で念じろよ。自分が考えていることがグレーがかっているだろうが、気合を入れると視界が開く。いくぞ!(とビンタ)

 石井

 ひらめきました!

 以前、ビンタを受ける機会もあったのですが、痛そうだったのでやめていたんです。殴られるのがいやなので。でも今回のテーマは挑戦。だから、初めて闘魂注入されようと思いました。良かったです。

 闘魂注入された石井が、イノキボンバイエでボルテージを一気に上げ、「無差別級」王者ミノワマン撃破に挑む。(構成=藤中栄二)