<INOKI

 GENOME>◇27日◇東京・両国国技館◇観衆1万1600人

 闘魂が、32年の時を超えて燃えさかった。東日本大震災復興チャリティー「INOKI

 GENOME」(東京・両国国技館、日刊スポーツ後援)で、IGF会長のアントニオ猪木(68)が、熱闘を繰り広げた。K-1戦士の崔洪万(チェ・ホンマン=30)を故ジャイアント馬場さんの代役に「BI砲」を復活結成。アブドーラ・ザ・ブッチャー(70)、タイガー・ジェット・シン(63)組の襲撃を鉄拳で打ち砕いた。79年オールスターの再現で会場を熱気で包み、復興への結束と一体感を高めた。

 プロレスラーとしての闘争心が、全身を駆け抜けた。猪木は、リング下から握手を求められたブッチャーに引きずり下ろされると、それまでの笑顔が一変。顔を紅潮させ、歯を食いしばり「この野郎!」と叫びながら右拳を相手の額目がけて振り下ろした。凶器のサーベルを手に襲いかかってきたタイガー・ジェット・シンにも猛然とつかみかかり、再び鉄拳の嵐。退散する2人の背中を、肩で息をしながらにらみつけた。

 「新たなエネルギーを生みだすには、プロレスの原点しかない」。日本が未曽有の災害に見舞われる中で、猪木流の激励だった。人々を熱狂させた79年8月26日のオールスター再現。「馬場さんはあの世だから」と身長2メートルを超える崔洪万を韓国から呼んで「BI砲」もよみがえらせ、会場を熱気の渦にした。大会前は「俺がリングに立てればと思うと悔しいよ」と漏らしていたが、かつての宿敵から襲撃され、自ら戦いの舞台で役目を果たせた。

 この日は、東北地方と首都圏で避難生活を送る被災者1200人を無料招待した。「世の中うっぷんばかり。俺が成り代わって腹を切る」と、介錯(かいしゃく)役の元横綱朝青龍関が欠席で不在ながら、白装束で切腹パフォーマンスを強行。「道はどんなに険しくても、笑いながら歩こう。今こそ1歩を踏み出して、苦しみの中から立ち上がろう。1日も早い復興を願い、リングから元気を発信します」。いつにも増して「1、2、3、ダァーッ!」に力が入った。【山下健二郎】