<UFC“最強”への挑戦(3)>
かつて、世界の頂点に立った男は今、再起への思いを胸に「原点」へ立ち返った。初代PRIDEライト級王者・五味隆典(33=久我山ラスカル)。10年3月、鳴り物入りでUFCに参戦も、ここまで1勝3敗。現在2連敗中の苦境にある。「どの選手も背水の陣を敷いて戦っているし、リスクを負わない試合などない。小細工をせず、今までやってきたことをもう1度やり直す」。約3年ぶりの日本での戦いが覚悟させた。
海外合宿に出向く選手が多い中、じっくり腰を据えた。ボクサーのように早朝からロードワークで走り込み、これまで世話になった指導者や練習パートナーのもとを訪れ、夜遅くまでスパーリング。PRIDE時代まで続けていたつらい追い込みを約3カ月間、自らに課した。「一番やらなければならないものは、最後の最後で自分のところにやってくる」。アウェーでの戦いを意識し、技術やコンディションにとらわれすぎていた自分に気付いた。
前回の試合から今大会までの間に3度、アマレスリングの大会にも出場した。実戦感覚を維持するためだけではなく、ジムを主宰し、日米の格闘技への温度差を体感している者として思うところがあった。「プロが出れば競技の人気も出るし、プロはアマチュアの応援があってこそ成り立つ。プロはもっとアマの大会に出た方がいい」。
急きょ、対戦相手が光岡映二(36)に代わった。唯一の日本人対決に「ファンも盛り上がるのでは。相手に不足はない」と燃える。「自分にとって2回目の北米挑戦」という五味。オクタゴンから再起のメッセージを送る。【山下健二郎】

