<プロボクシング:WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇11日◇大阪・ボディメーカーコロシアム
WBA世界ライトフライ級王者の井岡一翔(24=井岡)が、3試合連続KOで2度目の防衛に成功した。同級5位クワンタイ・シスモーゼン(31=タイ)を7回2分17秒で沈めた。序盤からダメージを蓄積させ、最後は左ボディーからの左フックで仕留めた。同階級で突出した強さを示し、井岡一法会長(46)も「100点」と絶賛。大みそか開催が有力の次戦で、フライ級へ転向しての3階級制覇が視野に入ってきた。井岡の戦績は13戦13勝(9KO)となった。
流れるような上下の連打だった。井岡が7回に、攻撃のテンポを上げた。40秒過ぎに左右の連打を繰り返した。最後は左ボディーから左フックでアゴを打ち抜いた。左目尻から流血し、疲れも蓄積していた相手はマットに崩れ落ちた。
「みなさんも、それ(KO)が見たいと思っていたので意識しました。この階級でいる限り、王座のいすは僕のスペースしか空いてない。僕の代わりはいない」。どよめく会場で、左腕をななめに上げる“ボルトポーズ”で、喜んだ。
重量級より1発の威力が劣る軽量級でKOを続けるのは至難の業。それでも、井岡には上下左右に打ち分けるコンビネーションがある。ダメージを蓄積させ、スタミナを奪う術がある。ライトフライ級での世界戦3試合連続KOは、具志堅用高氏以来35年ぶり。「すごい光栄」と偉大な王者に続く快記録に胸を張った。
メジャーリーガーのイチローを尊敬している。「朝にカレーを食べたり、毎日ユンケルを飲んだり、食生活からブレがない」。井岡も、著書に「今をブレない」と名付けたほど、物事を貫き通すタイプだ。毎日欠かさない朝10キロと夕方4キロのロードワーク。今年からは加圧式トレーニングも始めた。「尋常じゃなかった」と嘆いた8月の酷暑にも、決めたことをやり続けた。「僕も自分の気持ちにブレず、自分自身にブレずに生きたい」。鉄の意志が、鉄の拳を繰り出す源だ。
7月以降、国内では直前の宮崎を含め5人が世界戦をした。ロンドン五輪ミドル級金メダリストの村田もプロデビューした。各ボクサーが、試合内容でファンを奪い合う時代。その中で、井岡は日本を背負うプライドがある。「素晴らしい選手は多いけど、その中で1つでも2つでも飛び抜けられるようにしたい」。有言実行の結果を見せた。
いよいよ無敗の3階級制覇が視野に入ってきた。次戦は3年連続の大みそか開催が有力。「100点をつけられる」と褒めた父の一法会長は「3階級に向かって、相手がチャンスをくれるのであればチャレンジしていきたい」と、交渉に乗り出す考えを示した。井岡も「3階級制覇というのはボクシングを始めたきっかけ。それに向かって、1つ階段を上れた」と自信をつかんだ。新たなステージへ進む態勢は整った。【木村有三】
◆日本人の世界3階級制覇
亀田興毅だけで、無敗での達成者はいない。亀田は06年8月にランダエタ(ベネズエラ)とのWBAライトフライ級王座決定戦を制すると、1度防衛して王座返上。09年11月、内藤大助に勝ちWBCフライ級王者となり22戦全勝で2階級制覇。だが、初防衛戦で敗れ王座陥落。10年12月にWBAバンタム級王座決定戦でムニョス(ベネズエラ)を破り3階級制覇(現在7度防衛中)。2階級制覇は井岡ら11人。
◆世界主要4団体のフライ級王者
WBC王者は八重樫東(30=大橋)。八重樫はWBA世界ミニマム級王者時代の12年6月にWBC同級王者だった井岡と2団体統一戦をして敗れている。WBA王者は4回防衛中のファン・カルロス・レベコ(30=アルゼンチン)。IBFは4回防衛中のモルティ・ムザラネ(30=南アフリカ)。WBO兼WBAスーパー王者がファン・フランシスコ・エストラダ(23=メキシコ)。

