新関脇の照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が逆転優勝を逃した。1差で追う白鵬の結びの一番を支度部屋で見届けると「フゥ~」。大きく息をつき「自分のために精いっぱい頑張ってくれた。こっちも力入りました」と兄弟子・日馬富士に感謝した。直前の取組では、豪栄道を寄り、すくい投げから小手投げでねじ伏せた。だが史上最速タイの初土俵から24場所目の賜杯には、あと1歩届かなかった。

 それでも、9勝が最高だった幕内で13勝。「毎日ホームシック。モンゴルに帰りたい」と嘆くが、安美錦が負傷休場して心に火が付いた。新三役の最多勝利に並び「チーム伊勢ケ浜として頑張った」。間垣部屋から転籍して2年。兄弟子に支えられた快進撃だった。

 三賞では殊勲賞と敢闘賞をダブル受賞。来場所の成績次第では大関昇進の可能性も浮上した。井筒審判部副部長(元関脇逆鉾)は「(先場所の)上位総当たりの中での勝ち越しが生きてくるんじゃないかと。優勝のようなことがあれば大関になってもおかしくない」。弟子には厳しい師匠の伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)も「14勝とか、それだけ勝っていけば声が出る可能性はある」と話した。

 年内の大関昇進を見据える照ノ富士は「今場所は長かった」。パンパンに張った両腕が、激動の15日間を物語っていた。【桑原亮】