4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(33=大橋)が32戦無敗同士の頂上対決を制し、防衛成功(WBC、WBOは8度目、WBA、IBFは7度目)した。WBA、WBC、WBO同級1位中谷潤人(28=M・T)の挑戦を受け、3-0の判定勝利。4団体統一王者として歴代トップ独走の7度目防衛となった。
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試合が終わっても、多くの観客が席を動かなかった。まるで余韻に浸っているようだった。それほど2人の戦いは素晴らしかった。
序盤で、中谷を攻めさせなかったことが勝因ではなかったか。中谷は懸命に左を合わそうとしたが、井上の強烈なパンチ、踏み込みの速さを警戒するあまり、手数が出なかった。8回あたりから挑戦者らしく攻め始め、追い詰める場面もあったが、最後まで主導権を奪うことはできなかった。
長身で懐の深い中谷はやりづらい相手。無敗同士の戦いという重圧もありながら「だからこそ楽しい」と言えることが強さだ。この日も後半パンチをもらい始めたが、焦らずにしっかりガードを上げて対応。逆に11回にはアッパーで中谷に致命傷を与えた。楽しみながら研究してきた成果だったのではないか。
敗れた中谷だったが、価値を下げるどころか、逆に上げたと思う。得意の強烈な左ストレートを何度もヒットさせた。終盤に左目を負傷しなければ、もっと接戦になり、結果も分からなかった。
東京ドームという大舞台でボクシングの醍醐味を見せてくれた2人に感謝したいし、2人の今後も楽しみしかない。(元WBC世界スーパーフライ級王者)

