小結嘉風(33=尾車)の今年の漢字1文字は、ずばり「技」だ。迷いは一切なし。「今年は技能賞を初めてもらった。三賞の中でも、技能賞は特別。プロの力士として、幕内の舞台で技を認められたということ。しかも2場所連続。これは僕にしか書けない字じゃないですか」と胸を張った。

胸を張る嘉風
胸を張る嘉風

 「嘉風旋風」は、間違いなく今年のトピックの1つだ。夏場所から3場所連続2ケタ勝利を挙げ、西前頭筆頭だった秋場所では白鵬、鶴竜の2横綱を連日撃破。2大関2関脇1小結も破る上位キラーぶりで、自身初の殊勲賞と技能賞を獲得した。9場所ぶりの三役復帰となった九州場所でも勝ち越しを決め、来年初場所(1月10日初日、東京・両国国技館)では新関脇昇進が濃厚だ。「相撲に取り組む姿勢が変わって、自分の力が出せるようになった。今年というより、相撲人生の中で一番大きな出来事」と、1年を振り返った。

 快進撃を見せた今年も、あとわずか。だが「良い年だったけど、良い年と思って区切ってないので」と、これで終わらせるつもりはない。「上の人とやって勝てるというよりは、なんとかなる。なんとかするぞという気持ちはある。3場所連続三賞も狙いたい」。旋風は、まだまだ続きそうだ。【桑原亮】