次の横綱候補といわれた大器が、迷い道に入り込んだ。大関照ノ富士(24=伊勢ケ浜)が、平幕の栃ノ心に一方的に寄り切られ、3日目から4連敗だ。「しんどいよ」。自嘲気味に笑みを浮かべながら、満身創痍(そうい)で力が出ない現状を嘆いた。

 この日の朝稽古、本音をこぼした。「前のオレに戻りたいな。できない自分に腹が立つ。力を出そうと思ったらケガをする。出さなかったら負ける…」。昨年秋場所で左膝を負傷し、さらに右膝も痛め、今年初場所では右鎖骨を骨折。春場所では左肘も痛めた。度重なるケガで稽古も十分にできず、大関まで駆け上がった闘争心もそがれている。

 師匠の伊勢ケ浜親方は「まずはケガを治してから。稽古できないと勝てない」と話す。休場の可能性を問われた照ノ富士は「出るよ」と否定し、「休んでも一緒だから」とこぼした。試練は続きそうだ。