日本相撲協会は15日、今場所の新序出世力士17人(再出世5人を含む)を発表した。新出世の12人は、三段目の取組途中に化粧まわし姿で披露された。大相撲名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)から番付にしこ名が載る。

 先天性の感音性難聴を患う江塚薫(16=式秀、静岡県磐田市出身)も、7人目にアナウンスされて晴れの土俵に上がった。3勝3敗と計6番取った前相撲では、外して土俵に上がった補聴器も、この日は付けたまま上がった。「やっと、ここまで来たんだな、(これからは)毎日ここで相撲を取るんだ、と思いました」と実感を込めて話した。

 出世披露で締めた化粧まわしは、師匠の式秀親方(44=元前頭北桜)が現役時代に使用していたもの。その式秀親方が現役時代の師匠だった、故北の湖理事長(元横綱)がデザインした富士が描かれたもので「北の湖」の名前もしるされている。「やるからにはケガや病気で休まないようにしたい。(ケガとかあっても)痛いのは生きている証拠。ファンに人気のある技派の力士になりたい」と抱負を語った。

 しこ名は、師匠のしこ名にならって「桜」の字が入った十数の希望候補をリストにして、師匠に伝えている。来場所から本割の土俵に上がる際、補聴器はタオルにくるんで土俵に上がるという。169センチ、70キロの細身の体に、100%の闘志を秘めて挑む。