人気急上昇中の西十両8枚目宇良(24=木瀬)が29日、思わぬ悩みを告白した。岐阜・羽島市の宿舎から、名古屋場所(7月10日初日)が行われる名古屋市中区の愛知県体育館まで車移動を希望も、送迎してもらう支援者が見つからず「このままだと場所に行けない」と困惑顔。出費がかさむ新幹線通勤を回避するためにも「車付き運転手」の探索が急務になってきた。

 鮮やかな技で十両の土俵を沸かす宇良に、思わぬ問題が発生した。

 「移動できない。今の悩みは、それだけです…」

 岐阜・羽島市の宿舎から名古屋市中区の会場まで、他の関取衆と同様に車移動を希望しているが、送迎してもらう支援者が見つからない。初日まで10日余り。「今、結構必死で探してるんです」と、車付き運転手を懸命に探索中だ。

 44ある相撲部屋で、愛知県外の宿舎は4部屋だけ。岐阜は木瀬部屋だけで遠い印象もあるが、会場まで車だと距離約30キロで、名神高速を使えば40分前後で着く。徒歩10分の岐阜羽島駅から名古屋駅まで、新幹線なら約10分と意外に近い。

 宇良は序二段だった昨年は部屋マネジャーの運転での送迎か、新幹線で通っていた。だが、関取になった今年は取組時間が遅くなるため、マネジャーの送迎は不可能に。名古屋まで往復2880円の新幹線通勤も、今年は付け人2人が加わるため8640円の3倍に。名古屋駅からタクシーで会場まで往復すれば、さらに3000円。15日間で17万4600円の出費になる。それ以上に、人気急上昇した今年は人出が多い名古屋駅を歩くだけでも気疲れして、土俵の結果にも響きかねない。

 「このままだったら、場所に行けないッス」。助っ人出現への願いは、想像以上に切実だ。【木村有三】

 ◆力士の場所入り 幕下以下の若い衆は、部屋の最寄り駅から会場までの交通費が支給される。名古屋場所の場合は地下鉄市役所駅まで。新幹線代の支給はない。木瀬部屋の若い衆は名鉄新羽島駅から市役所駅まで往復2000円が支給される計算。十両以上の関取衆には交通費の支給はなく、宿泊費(十両で1日5300円)や日当(同1200円)で賄うとされる。東京場所では部屋関係者の車に乗る場合が多く、国技館近くの部屋では徒歩で通う力士もいる。地方場所では、後援者による送迎が増える。春場所の栃煌山のように往路は電車通勤、復路は車送迎という力士もいる。

 ◆名古屋場所の宿舎事情 全44部屋の宿舎のうち、会場と同じ名古屋市内は、白鵬の宮城野部屋(緑区)など17部屋。同市以外の愛知県内にあるのは、稀勢の里の田子ノ浦部屋(長久手市)など23部屋。愛知県外は4部屋で、三重は貴乃花部屋、峰崎部屋(桑名市)追手風部屋(鈴鹿市)。岐阜は木瀬部屋のみ。