12日公開のアニメ映画「ONE

 PIECE

 FILM

 STRONG

 WORLD」の初日興行収入(初日興収)が、東映の初日興収の最高記録を樹立した。同社が過去最高の興収51・1億円を記録した「男たちの大和

 YAMATO」(05年)の初日興収1・7億円を大きく上回る4億円を突破。今年7月公開の大ヒット映画「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の3億3400万円をも上回り、同社宣伝部は「最終興収は予測不可能」と話している。

 ワンピースが、創立58年の東映の歴史を塗り替えた。初日舞台あいさつが行われた東京・銀座の「丸の内TOEI」では、声優陣9人と境宗久監督が登壇すると会場を埋めた約400人から大歓声が上がった。客層は10~20代の女性が中心で、声優の1人が声を発するごとに「キャーッ」。イベント終盤に主演の船長ルフィ役の田中真弓が、サプライズで前列客席から登場すると、一部の観客は感激で涙を浮かべながら懸命に拍手をし始めた。

 東映宣伝部によると、同映画の上映館数は、全国188館だが、うち68館の劇場で当日分の座席がこの日の正午時点で全上映回満席になったという。一部では翌日分の前売り券も完売し、緊急で深夜上映を始めた。初日興収は4億円超えで約35万人の動員。ヒットの目安が配給収入から、興収に切り替わった00年以降、同社作品の最高興収は、51・1億円の記録を持つ「男たちの大和

 YAMATO」で同映画の初日興収1・7億円だった。しかし、このワンピース最新作は、それを2・35倍更新。さらに前売り券の売り上げは、6日時点で29万6449枚。これも同社史上最高記録だ。

 同社宣伝部では、異常人気の理由は「ワンピース映画シリーズの10作品目記念で初めて原作者の尾田栄一郎氏が製作総指揮を務めたからでは」と分析している。同氏は、ストーリー、キャラクター設定など隅々までこだわり、原作と連動した映画を完成させた。当初は別のストーリーを考えていたが納得できずに内容を変更させて、例年の3月公開を今年は12月まで延期。結果、ファンの期待感が増したことも、大ヒットの一因とみられる。

 また150万冊限定で、先着入場者には漫画「ONE

 PIECE」0巻がプレゼントされる企画も功を奏した。物語が始まる前のエピソードが描かれた0話に加え、映画の登場人物の紹介や尾田氏のコメントも込められておりファンの心をつかんでいるようだ。