小泉今日子と二階堂ふみ、2人の共演というだけでひかれてしまうではありませんか。二階堂演じる高校生の果子(かこ)と、小泉演じる、死んだはずの伯母未来子(みきこ)を中心にした一夏の物語だ。

 果子の読み方はかこ、つまり過去であり、未来子の字面はフューチャーの方の未来だ。名前が示すように、2人は対極の存在。何もかもつまらなくてイライラしている果子と、まあいいじゃないの、という姿勢の未来子。水と油の2人が、同じ部屋で生活していくうち、少しずつ変化していく。

 2人が理解し合って混ざり合うというのではないところがいい。過去と未来が、現在というほんの一瞬を分岐につながっているように、少しだけ触れ合うといったところだろうか。その分、2人がつながる場面に心がときめくような気持ちになった。

 登場人物の会話と表情に、飽きることがなかった。特に二階堂。オープニングからずっと不機嫌な表情なのだが、いろんな不機嫌の色合いがのぞいていて、もっともっと見たいと思った。さて、タイトルが意味するところ、ラストはどうなるでしょうか。【小林千穂】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)