◆喰女-クイメ-(日)

 初めに、評論はホラー好き記者によるもので、好みが分かれる作品であることをご承知願いたい。

 歌舞伎俳優市川海老蔵(36)が、先祖が得意とした「四谷怪談」のお岩さんの物語をモチーフに、自ら企画にも関わった意欲作。海老蔵演じる俳優と、恋仲にあるヒロイン役の女優(柴咲コウ)だが、野心家の共演女優(中西美帆)にも手を出してしまう。それがもとで幻想と呪いに悩まされ…と、海老蔵の半生を地でいくかのようなモテモテなストーリーだ。

 海老蔵の妄想と現実の話、さらに「四谷怪談」の劇中劇とのリンクのさせ方が絶妙だ。複数の世界が混在する構成の場合、どれが現実か分かりづらい作品が多いが、それもスッキリしていてストレスを感じない。

 出演者が多くないだけに、1人1人の力量が試される作品でもある。中でも柴咲の存在感の出し方はさすが。血まみれになるシーンは、柴咲の精神構造、海老蔵の心の移り変わりを柴咲が一手に背負って表現した。見た目以上の恐ろしさを感じた。

 妄想シーンのラストは、あまりのチープさに笑ってしまうが、それも三池崇史監督らしい遊びか。【森本隆】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)