ロンドンブーツ1号2号の田村淳に、日刊スポーツの記者が取材する連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」。今回は「オールドメディア」といわれる新聞について、インターネットとの関係も含めて、淳の考えていることについて聞いてみました。


新聞について語るロンブー田村淳
新聞について語るロンブー田村淳

 ボクの家にはパソコンがありますけど、家でインターネットをすることは少ないです。情報を得るのは基本、スマホで済ませます。新聞も、まだ一応、買っています。でも、一応ですよ(笑い)。

 まだ紙媒体がこうやって踏ん張っているのは、日本ぐらいじゃないかなと思います。先日モルディブに行った時、いろいろな国の人が来ていたんですけど、みんなタブレットでニュースを見ているんですよ。何を見ているのかなって思ったら、やっぱり、電子版の新聞を見ているんです。だから、みんな情報がほしいことには変わりはないんだろうなと。ただ、紙の新聞を買いに行く、そしてまとめて捨てる、っていう煩わしさに対して、電子版で情報を得るっていう便利さを覚えちゃったら、もう元には戻れないと思うんですよね…。

新聞社が、「うちは電子版だけしか出しません」って割り切ってみるのはどうかなぁとも思ったりします。でも、駅の売店やコンビニではやっぱりスポーツ新聞って売れるから、そこはなくせないんでしょうね…。

 ボクがここでコラムをやらせてもらっているのは、スポーツ新聞を売っている日刊スポーツという会社が、今ネットで何をすべきかっていうことを考えている事が感じ取れたからです。こういうのは、絶対やっていった方がいいと思いました。

 みんながどうやったらもっと新聞を買うのかなって、何回も考えたことがあるんですよ。新聞って、リアルタイムでの双方向性がないじゃないですか。昔みたいに、自分が書いた文章を投稿して、掲載されるような場所になれば、買おうって思うかな…?とか。

あとは、「絶対あの新聞社じゃないと、この情報載せないんだよな」という独自性も必要ですよね。例えばベッキーのことが世に出たら、どの新聞も紙面はベッキーばかりになりますもんね。だったら、ベッキーをたたいている新聞と、擁護している新聞があったら、ユーザーは選びやすいと思うんですよ。もっと言えば、たとえば「絶対世論の真逆行く新聞」とか。世の中がたたいていたら、擁護する。みんなが擁護していたら、たたく、みたいな「真逆新聞」。ボクは絶対買いたいですね。

 賛成意見と反対意見もあって、それらを自分の中で合わせて咀嚼(そしゃく)すると自分の答えが出ると思っているので…そういう独自性はどうですかね。「絶対逆行くぜ新聞」、いいかもしれないですよね。

 ヤフーニュースは、ネットニュースの代名詞的な存在ですけど…実はあまり見ない。もちろん、手軽さを求めるときには見ますけど、そこで気になったニュースは、違うサイトで、しっかりと情報を求めにいきます。

記者さんが、タレントに会いに行ったり、現場に行ったりして、真実に近づいた結果の記事が出るならいいんですよ。だけど、その記事に乗っかって、取材しないで書いたり、ブログとかをコピペしただけで書いたり、ただテレビ番組見ただけで書いたりした記事でも、ヤフーに載っちゃうじゃないですか。それってどうなのかなぁと思うんですよね…。ある時なんか、twitterでしか発信してないどうでもいい事…「田村淳の歯が欠けた」みたいなのがヤフーに出ていた時すらありましたもん(笑い)。

 どうしてそういう記事も、どんどんあがってくるんだろう、って思って、ツイッターでみんなに質問してみたことがあったんです。そしたら、「2ちゃんねる」を作ったひろゆきさんや、「ガジェット通信」の方が、解説してくれました。「記事を出すのはとにかくスピード勝負で、会社によっては、芸能で起きたことをひたすら打ち続ける人がいる。だから誤字脱字もある。でも、ヤフートピックにあがったら、それだけでPVが伸びる。だから、質よりも何よりもスピードが命なんですよ」と丁寧に解説してくださいました。とても分かりやすい、って思いました(笑い)。だからああいう記事が生まれるんだと納得してしまいました。

 ボクは、記者さんは名前を絶対出すべきだと思うんです。その記者さんの書くことだったら、お金を払っても読みたいっていう風になればいいですよね。日刊スポーツでも、絶対名前を書くべきですよ。書いてある時もあるんですけど、おしまいに申し訳程度に書いてあるから、目に留まらないんですよね…。もうちょっと、記者の名前を大きく書いてみたらどうでしょう。名前だけじゃなくて、堂々と記者さんの顔写真付きで出す新聞があったら、とてもいいと思うんです。「この野菜、この人が作りました」みたいな感じになるじゃないですか。「この記事、○○さんが書いた記事です」って。それだけでも、他の新聞がしていないことですから。

 新聞をつくっている人たちが、ニュース番組とか、番組を作ったら相当面白いだろうなとも思います。新聞は新聞で売るけど、テレビでもない新聞でもない新しいメディア。あったらいいなと…。

 なんか、散々偉そうなこと言っちゃいましたね(笑い)。外部の人間だから言えることもあるということで、今回は許してください。僕は新聞を買い続けます。


 ※連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」は、日刊スポーツの各分野の記者がさまざまなテーマで取材し、率直に話して貰う企画です。今回は「新聞とインターネット」について、文化社会部の横山慧が取材しました。

(ニッカンスポーツ・コム連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」)