昨年「大人AKB」オーディション最終選考に残り話題になった落語家春風亭ぴっかり☆(34)が今春から、沢口靖子、長沢まさみらが所属する東宝芸能で活動している。俳優、女優がほとんどの同事務所に落語家が所属するのは初。このほど日刊スポーツの取材に応じ、夢を語った。

 東宝芸能に所属するきっかけは、昨年5月に出演した舞台で、同事務所の山村紅葉と共演したことだった。ぴっかり☆はもともと、宝塚歌劇団の大ファンで、ブロードウェーで観劇するほどの舞台好き。そんなぴっかり☆を見て、山村が声を掛けてくれたという。師匠の春風亭小朝に相談をすると「きみが!?」と驚かれたそうだが、何でもやってみなさいという姿勢の小朝が背中を押してくれた。

 これまで事務所に所属したことはなかったので、毎日が新鮮だ。「マネジャーさんにスケジュールを提出することから、なんて芸能人っぽいんだろうとドキドキします」と初々しい。事務所には、一路真輝ら、ファンだった宝塚歌劇団出身も多く、気持ちも高まる。「会社でお会いしてしまったらどうしましょう!」。

 事務所所属は、ゆくゆくは女優、タレントを目指すための布石かと思いきや、すべては落語のためだ。「落語家は自分を表現する仕事。舞台に上がるだけで面白い重鎮の方もいます。芸は、結局は私から出てくる。とにかく芸人としての魅力をアップさせたいんです」。今年は8月から9月にかけて行う東京、大阪、名古屋のツアーの成功が目標。「大ネタにも挑戦します」と意気込んでいる。

 憧れはやはり小朝だ。俳優、司会、プロデュース、さまざまな分野で活躍し、すべての経験が落語で生きている。「ずっと背中を見て走っていきたい」。

 アイドルへの挑戦も諦めていない? ようだ。「35歳以上のモーニング娘。なんてないかなあ。やっぱりアイドルは憧れです」。笑顔の奥に、落語への強い思いを感じた。【小林千穂】

 ◆春風亭(しゅんぷうてい)ぴっかり☆ 本名・高橋由佳。1981年(昭56)5月13日、東京生まれ。06年に春風亭小朝に入門。前座名ぽっぽ。11年、二つ目昇進、現名に。13年に10日連続単独公演。昨年「コロッケ薫風喜劇公演」で舞台デビュー。任侠(にんきょう)映画好き。150センチ、血液型AB。ツアー「ぴっかり☆夏祭り!」は8月16、23、30日東京・日比谷コンベンションホール、9月2日大阪・TORII HALL、同3日名古屋・三楽座。