リオデジャネイロ五輪開会式が5日(日本時間6日)、華やかに行われた。ブラジルと日本で活躍中の日本人サンバダンサー工藤めぐみ(30)がパフォーマンスを披露した。終了後に日刊スポーツの取材に応じ、感動や舞台裏などを語った。

 開会式スタートから15分が過ぎたころ、白塗りメークで日の丸をアレンジした衣装を羽織った女性ダンサーたちが登場した。先住民と移民の融合によって作られてきたブラジルの歴史を創作ダンスで表現するパフォーマンス。「日本からの移民」という大役を任された工藤は、最前列のセンターポジションで、しなやかに踊った。8万人収容のマラカナン競技場にある大きな柱に工藤の写真が大きく掲出された。「凜(りん)としたイメージで踊りました。日の丸のような衣装は、大げさかもしれないですが日本を背負っているようで誇らしかった。五輪という大きなステージで踊れて感動しました」。

 ブラジルと日本の懸け橋になりたい。サンバダンサーとして現地でも活躍中の工藤は昨年12月、ブラジルで行われた開会式オーディションに参加した。今年2月に合格通知が届いた。5月にブラジルに入り、3カ月にわたって練習を続けてきた。「24回も練習がありました。要領良くいかないお国柄ですし、待ち時間もすごくあったりして本当に大変でした」。長い待ち時間では、共演したダンサーの卵や体育大学生らと話し込むなどして絆を深めた。「リオは治安が悪かったり、いろいろ言われているけど、ダンサーの子たちはみんなリオ五輪を盛り上げたい一心で前向きでした」。本番前は涙をこらえて写真を撮り合い、何度もハグし合った。芽生えた一体感は世界中が見守るステージで思う存分発揮できた。

 出番を終えて楽屋に戻ると、入場口に向かう日本選手団が通りかかった。卓球の福原愛に思わず「愛ちゃん!」と声を掛けた。「『あ~っ!!』と言って手を振ってくれました。競泳選手の皆さんとも写真を撮りました」。「白塗りだったから怖かったんじゃないかな」と言うが「入場前に皆さんに『頑張ってください』と声を掛けて見送りました。それができたことが、日本人として、メッチャうれしかったです」。

 リオにはしばらく滞在する。女子バレー日本-韓国戦、男子体操団体決勝、男子水球の日本初戦のチケットを入手した。「高かったけど頑張って買いました。日の丸を掲げて応援します!」。

 五輪は4年後に東京にやってくる。「すてきな経験をさせていただけた。五輪は素晴らしいものと伝えていきたい。ぜひ日本人として何かの形で出させていただければ」。リオから東京へ。夢はまだまだ続く。

 ◆工藤(くどう)めぐみ 1985年(昭60)9月3日、神戸市生まれ。阪神・淡路大震災で被災、復興支援でブラジル人のサンバを見て9歳でサンバを始める。04年大学を休学、リオにサンバ留学。05年リオのカーニバルにパシスタ(メーンダンサー)として初出場。09年強豪チーム「サルゲイロ」のパシスタとしてカーニバル優勝。神戸のサンバチームのリーダーも務める。168センチ。