ビートたけし(70)が5日、都内で主演するテレビ東京系の特別ドラマ「破獄」(12日午後9時)の完成披露試写会と会見に共演の山田孝之、吉田羊と出席した。

 たけしが演じる人情に厚く、仕事は完全無欠な看守と山田が演じる史上最悪の脱獄犯の対決を通し、命とは何か、生きるとは何か、人の絆とは何かを問いかける物語。吉田は看守の娘を演じる。作家吉村昭氏の同名小説を原作に、池端俊策氏の脚本で映像化。冬の北海道や長野などで撮影を行った。

 たけしは、昔、脱獄囚役のオファーがあったと紹介すると「雪の中を走るのは嫌だし、刑務所内で死ぬのがオチだから断ってくれと言ったら、今度は看守役だった。今までは凶悪犯役ばかり。どう演じようかと思ったが、たまにはそういうチャレンジもしようかと思った。やってみたら山田さんとか吉田さんがあまりに芝居がうまいので、それで盛り上げてくれれば、(自分の演技力は)ばれないとも思った。試写を見たらやっぱり下手でした。でも展開が早いので、私の演技を見過ごしてくれるだろうと思った」と冗談めかしてあいさつした。

 また、今回の出演で最も印象に残るエピソードも紹介。「今年の最初からつまずいてしまいまして。友人とオーストラリアでゴルフをやろうとしたら、暑くて日焼けしてしまうと思った。1月からこの撮影がある。とても雪国の看守ができないと、3ホールでやめてホテルに帰りました。1週間、朝から晩までホテルにいて、深夜1時までつまらないクリケットの中継を見ていました。帰る日を楽しみにしていました。本当に『破獄』のようでした。撮影が始まって、ほっとしたら、まさか、現場こんなに寒いなんて。今までで一番、思い出に残るドラマ」と語った。

 一方で「知らず、知らずに引っ張られる感じ。この時代、軽いドラマが多い中、ずっしりくるのでいいじゃないかな思う」とPRした。

 また、囚人を演じた山田は脱獄して雪の中を逃走する場面がある。「網走の気温マイナス10度の中、ふんどし1枚はキレそうでした」と会場を笑わせた。また、左の指が凍傷になったとし「左手薬指の感覚がないんです。でも、テレビ東京でまだやりたいことがある。これを武器として、訴えない代わりに、ある程度のことはやらせてもらえるかと思う」とにんまりした。

 たけしの娘を演じた吉田は「たけしさんの深く、力強いたたずまいが、私の感情を引き出してくれました。父らしくふるまわないところが父らしかった。現場でもたけしさんが休憩時間に多くを語るわけではないけど、自分の視界に私を入れてくれていました。不器用な気遣いをされ、この役はたけしさんだなと思いました」と語った。