名古屋の小さな歌姫が夢をかなえた。シンガー・ソングライターの藤田麻衣子(29)が11日、東京・日本武道館で初の弾き語りワンマンライブを行った。ファンへの感謝の意を込め、異例の入場無料で開催し、約1万人のファンが詰めかけた。

 オープニングでピアノ前に立った身長146センチの藤田は、会場のファンを見渡すと感極まった。縦に揺れる白と青のペンライト。女性ファンから「マイコー、頑張れー」と声が飛び交った。大きく深呼吸し、透明感のある歌声で1曲目の「今でもあなたが」を披露した。MCの場面では本音を漏らした。「当日どのくらいの人が来てくれるか、正直不安でした…。けど、こんなに大勢の方が駆けつけてくれて、でらうれしいわー」と、名古屋弁で感情を爆発させた。

 7曲目では、来春発売予定の新曲「つぼみ」を初披露した。同時にPV撮影も行われ、ファンを喜ばせた。同曲は、昨日の午後11時に完成。「ギリギリ間に合ってよかったわ」と安堵(あんど)し、ファンの笑いを誘った。ライブ終盤、藤田は「1つの夢がかないました。次はもう1つの夢であるオーケストラライブを実現させたいです」と震える声で、さらなる夢を明かした。

 藤田は06年9月に「恋に落ちて」でデビュー。昨年にアニメ化された「緋色(ひいろ)の欠片(かけら)」の主題歌「ねぇ」は、切ない女性の心情を楽曲にし、女性ファンから高い支持を得た。歯科衛生士の資格を所持し、ライブ中に「歯磨き講座」を行うこともある。

 日本武道館での弾き語りライブは、アンジェラ・アキ(36)以来2人目だった。