女優の酒井若菜(33)が、2005年の初舞台降板騒動について28日に更新したブログで振り返り、約8年半におよんだ自身の葛藤を明かした。

 酒井は3月27~30日に上演された舞台「イケナイコトカイ?」で、約8年半ぶりに舞台復帰を果たした。

 2005年当時は元グラビアアイドルとしての人気だけでなく実力派女優としての評価も高まっていた酒井。しかし初舞台となるはずだった同年の大人計画「キレイ-神様と待ち合わせした女」(2005年版)を、体調不良を理由に降板。闘病のため芸能活動を約1年間休業した後に復帰したが、入る仕事は小説やエッセーの執筆ばかり。女優としては低迷し、仕事があっても「ホステスB」といった脇役。しかし、そんな状況にもかかわらず、舞台出演のオファーだけは迷わず断っていたという。

 理由は初舞台降板によるトラウマだという。自身のふがいなさに加え、当時の酒井に向けられた「グラビア上がりが女優気取ってると、やっぱり」といった言葉に傷つき、それを再び繰り返してしまうのではないかという恐怖心から、舞台に復帰することが出来ずにいた。

 そんな当時を酒井は「なんのために必死に這い上がってきたのか、わからなくなった。落ちぶれた。這い上がってきたのに落ちぶれた。深海魚のように、ひっそりとそのまま生きてればよかったかな、と思った。休業中より、休業があけてからのほうが、よっぽど辛かった」と振り返る。

 今回の舞台は、脚本・演出を担当する鈴木おさむ氏から直々のオファーが届いた。極度の緊張で目まいに襲われながらも、「私は私を救いたい。トラウマから解放してあげたい」という自身の思いがあった。千秋楽まで乗り切ったことで、「酒井若菜です。克服しました」と晴れやかに報告。「私は身を持って証明したかった。『くよくよしたってはじまる!』って。この中途半端な女優の復帰劇が、僭越(せんえつ)ながら誰かの希望になりますように」とつづっている。