出演者がイケメンぞろいと話題のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」(日曜午後8時)が4日、始まった。日刊スポーツ紙面では、男性メーンキャストのインタビュー連載「2015年大河ドラマ『花燃ゆ』イケメン衆」をスタート。6日付紙面に掲載された声優・池田秀一(65)のインタビューを、ニッカンスポーツ・コムに特別公開する。

 語りに起用された池田は「機動戦士ガンダム」のシャア役でおなじみ。その声を楽しみに初めて大河を見るガンダム世代も多く、起用したプロデューサーもガンダム世代。送り手と受け手の距離を一気に縮めるインパクトで作品を支えている。(日刊スポーツ紙面には7日付以降、高良健吾、伊勢谷友介、大沢たかおが登場します)**********

 第1話は、池田の語りから始まった。「今からおよそ160年前、今の山口県萩市にひとつの小さな私塾があった」。耳慣れた池田節だが、主人公の文(ふみ)や若き長州藩士たちを見守るような優しく温かいトーンが印象的だ。ナレーションは必ず映像を見て入れられるよう制作現場にリクエストしている。「カメラの動きや俳優さんの息遣いを見て自然な流れで声を出せるので、第一声の気負いはありませんでした」。

 放送開始直後から番組関連のツイッター上には「シャア大佐!」「鳥肌立った」「胸アツ」「音楽もガンダムの人だ」など、ガンダムのタグのついた実況でもちきり。NHKの公式アカウントでも「語りは池田秀一さんです。通常の3倍のスピードの語りでお送りします(違)」と、シャアネタを発信していた。

 大河ドラマ54作の歴史の中で、語りに声優が起用されたのは初めて。それも、シャアや「ワンピース」のシャンクスなど人気キャラを数多く担当してきた声優界のビッグネームとあって、放送前から大きな反響を呼んだ。昨年9月の発表では声だけのメッセージを寄せ、「まさか私が大河ドラマの語りなど冗談じゃないと思いましたが」「文、いい女になるのだぞ」などシャア語録を交えたPRも話題を集めた。「すごい反響で驚きました。周りからもたくさん激励の言葉をいただき、大変な仕事なんだと実感した」と振り返った。

 土屋勝裕チーフプロデューサー(44)もガンダム世代。直球で起用理由を語った。「幕末という戦いの時代をアツく語るのは“赤い彗星”シャアのこの人の声がいいと思いました。ガンダム世代、ワンピース世代など幅広い世代が聞き慣れた声で、まとまりすぎず色気があり『花燃ゆ』の世界にお客さまを導いてくれる。話題性で視聴者層の開拓につながればという期待もあります」。

 話題性を託されて「ありがたい」と恐縮する池田だが、ガンダム世代の期待には「ほっといて、と思います」と明るい。「これはこれだよと。『花燃ゆ』では彼(シャア)は絶対入ってきませんから。『僕の入るとこじゃない』って」。

 自身も「竜馬がゆく」(68年)など3作の大河出演歴がある。当時に比べて現場もアットホームになったという。「花燃ゆ」は“イケメン大河”を打ち出していると伝えると「本当イケメンばかりでいいかげんにしなさいよ」と笑い、「イケメンたちと井上真央さんでチームワークがいい気がします」。出演者の誰とも会っておらず、今後も会うつもりはない。「お会いすると、その人に声で味方したくなっちゃうから」。

 幕末について「激動で面白そうな時代ですよね。僕ならそんなに命を張れただろうか」。吉田松陰の妹と、松下村塾に集った若者たちのエネルギッシュな物語ゆえに、特に若い世代に見てもらいたいという。「君たちも怖がらずに何かをつつけよ、と。松陰じゃないけど『学べよ』ですね」。それをシャア語録風にお願いすると、自然にシャアの声になった。「『まだだ、まだ学び足りんよ』かな。原文は『まだ終わらんよ』ですけどね」。【梅田恵子】

 ◆池田秀一(いけだ・しゅういち)1949年(昭24)12月2日、東京都生まれ。子役時代にNHK「次郎物語」(64年)で主演。大河ドラマにも「竜馬がゆく」(68年)「元禄太平記」(75年)「花神」(77年)の3作に出演。79年「機動戦士ガンダム」のシャア・アズナブル役で一躍人気声優に。ジェット・リーなどの洋画吹き替えでも知られる。血液型O。4月24日に、シャア誕生秘話を描いたブルーレイ「機動戦士ガンダム

 THE

 ORIGIN

 I」が発売。2月28日から3月13日まで、新宿ピカデリーなど全国13館でイベント上映される。