震災ドキュメンタリー映画「先祖になる」の初日舞台あいさつが16日、都内で行われた。出演した岩手県陸前高田市在住の佐藤直志さん(78)、菅野剛さん(63)が上京して出席した。

 佐藤さんは消防団員だった息子の昇一さん(享年47)を津波で亡くすも「生きるために」と震災3日後から稲作に取りかかった。12年の初めには「雨風をしのぐために」と家を造り始めた。きこりの佐藤さんは津波で被害を受けた木材を譲り受け、自ら設計図を書き、大工と協力して同年夏に新しい家を完成させた。

 生きることの原点がこの映画で描かれている。佐藤さんは最後に「先祖と息子の位牌(いはい)とともに新しい家に暮らすことができて、今は幸せいっぱいな生活をしています」とあいさつ。そして都会で暮らす観客へは「いろいろな事に遭遇すると思います。そんな時はこれを思い出して、無理をせずに1歩1歩、前に進んでください。そうすれば必ず夢はかないます」と話した。

 この作品は日本時間14日にベルリン国際映画祭の正式招待作品として、上映され会場満員の約800人から拍手を浴びたという。