次期NHK大河ドラマ「龍馬伝」(来年1月3日スタート、日曜午後8時)で坂本竜馬を演じる福山雅治(40)が5日、広島県福山市内で行われたロケ撮影でクランクインした。大河ドラマは例年、9月中には主演が撮影に入るが、デビュー20周年を迎えた福山は歌手活動も多忙。異例のタイミングで現場に入るVIP待遇となった。同局は初の試みとなる国内線ジェット機とのタイアップも実現させるなどバックアップ態勢も万全。破格のスケールで「福山竜馬」を盛り上げていく。

 土佐城下町を再現したオープンセット。着物姿に2本差しの福山はさっそうと現れた。南国土佐の侍らしく、端正な顔は浅黒く、野性味を感じさせた。パーマをあてた地毛を生かした髪形もなじんで見えた。この日から1年間、幕末のスーパースターと向き合う覚悟と緊張から、ファーストカットこそてこずったが、映像を確認して強い手応えを感じると、以降の撮影はスムーズに進んだ。

 出演依頼は約2年前。「写真など肖像を見ていましたから(竜馬役は)おれではないだろうと正直思いました」。それでも制作側の「新しい竜馬像をつくりたい」という熱意に「心を動かされて決意しました」。

 大河ドラマの撮影開始は例年8月下旬。主演も9月には参加し始める。ところが福山は今年、歌手デビュー20周年で記念の全国ツアーが9月27日に終了するスケジュール。制作側はほかの出演者部分の撮影を進めながら福山の参加を待つ形を取った。一方の福山も12月開催の恒例公演「大感謝祭」を夏に実施し、年末まで撮影に全力投球できる環境を整えた。

 ツアーの合間を縫って制作側と打ち合わせを重ね、殺陣、所作、方言レッスン、本読み、立ちげいこ、衣装合わせなど、鈴木圭チーフプロデューサーが「一体いつ寝ているのか」と驚くほど精力的に準備作業に取り組んだ。「心構えはできていた」と撮影初日を迎えた福山だが「プレッシャーもあって前夜はあまり眠れませんでした」という。

 話題性抜群の「福山竜馬」に対し、NHKも異例のPR作戦で盛り上げを図る。ANAの協力を得て羽田-高知便に、10月14日から竜馬自身の肖像写真と番組名をデザインした「龍馬伝

 ラッピングジェット」を1年間就航させる。縦約2メートル、横11メートルにわたってラッピングが施される。ファミリー向け映画のPRでおなじみの手法だが、同局として初の試みとなる。

 [2009年10月6日8時34分

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