07年にJ1甲府(現J2)でプレーしたFW富岡英聖(25)が、来年4月のテレビ朝日入社の内定を受けたことが14日、分かった。複数の関係者が明かしたもので、元Jリーガーがテレビ局に入社するのは初めて。他競技を含めて元プロがセカンドキャリアでテレビ局社員になったケースは確認されていない。

 富岡は09年限りで現役を引退し、昨年末から就職活動を開始した。筑波大の既卒者だが、一般学生とともに面接、筆記試験などの入社試験を通過し、約1万5000人の中からわずか22人しか獲得できない内定を2月下旬に受け、約625倍の難関を突破した。

 富岡はJ1名古屋の下部組織出身で、U-16日本代表にも選ばれたことのある逸材だった。進学した筑波大では、高い身体能力を武器にストライカーとして、03年全日本大学サッカー選手権優勝、04年関東リーグ優勝に貢献した。卒業後は、当時J1の甲府にテスト入団。公式戦での出場はなかったが、退団後は地域リーグを経て単身ドイツへ渡り、ドイツ4部リーグでプレーしていた。

 ある関係者は、富岡の人柄について「明るく、前向きで憎めない性格。元Jリーガーということをひけらかさず謙虚」と話し、テレビ朝日側は、サッカー選手としてのキャリアだけでなく、人間性も評価し内定を出したようだ。フジテレビには98年長野五輪女子モーグル金メダリストの里谷多英が在籍しているが、プロスポーツの厳しさを知る富岡が、来春からテレビ朝日でどんなセカンドキャリアを積んでいくか注目される。

 [2010年3月15日7時30分

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