人気グループ嵐が3日、東京・国立競技場2日間公演を1日遅れでスタートさせた。本来は2、3日に開催予定だったが、台風12号の影響で2日開催分を4日に延期。リハーサルの時間が十分取れなかった上、直前に一斉フライングを中止。準備段階では台風の影響を受けたものの、約7万人の観客にはそれを一切感じさせない、パワフルで華やかなステージを展開した。

 オープニングはまさに“嵐”だった。開始時間の午後5時半ごろ、突然、風雨が強まった。降りしきる雨の中、強い風に赤と金色の衣装をたなびかせながら、5人がステージに姿を現した。「力いっぱい、元気にしてやるよ!」。ずぶぬれになった松本潤(28)が叫ぶと、超満員の客席から大歓声が上がった。

 天候を危ぶみながらの開催だった。1日遅れの公演スタートに、櫻井翔(29)は「延期は残念でした。みんなが来られるわけではないので」と唇をかみしめた。松本は「天気予報にくぎ付けでした」。相葉雅紀(28)は「楽屋でてるてる坊主を作りました」と明かした。

 本番直前には、内容変更を余儀なくされた。公演開始時は風速9メートル。冒頭で、5人が高さ80メートルからフライングしながら花道に降りる演出は中止になった。

 会場での通しリハーサルもできず、ぶっつけ本番に近い状態だった。リハは直前の3時間だけ。松本は「毎年5人そろう時間が圧倒的に少なくなっている」とこぼすほど、もともと準備時間は少なかった。それに加えての台風。関係者が「普通のアーティストなら中止する」と言うほど、時間不足で迎えた初日だった。

 それでも5人は、7万人を存分に魅了した。東日本大震災の発生で電力は昨年比70%減、水量は同90%減の節電ライブにもなったが、松本は「まずは僕らが元気がないと。元気になってもらって、ハッピーな気持ちが広がってくれたら」と話した。途中で相葉が女子高生用セーラー服を着て、会場の笑いを誘った。花火を予定より減らしたが、エコ風船を飛ばしたり、火を使った特効の演出など、例年に比べ遜色なく華やかだった。

 年間1組しか許可されない国立競技場公演は今年で4年連続だけに、二宮和也(28)は「帰ってきたという感じ」。大野智(30)は「4年もこんなでっかい夏のお祭りができて、幸せです」としみじみと言った。

 約3時間半でアンコール2回を含め、41曲を披露。アンコールでは、相葉と大野が慣れ親しんだ場所のように、バックステージから聖火台まで駆け上がった。国民的グループならではの集中力と持ち前のチームワークで、台風というハプニングも乗り切った。【近藤由美子】