桑田佳祐(55)がクリスマスの25日、神戸ワールド記念ホールで「桑田佳祐ライブin神戸&横浜2011~年忘れ!!みんなで元気になろうぜ!!の会~」を行った。神戸でのライブは約8年ぶり。東日本大震災の起きた激動の2011年を締めくくるライブで、95年の阪神・淡路大震災を経験した神戸から「元気にいこうぜ!!アナタもアタシもこの国も」とメッセージを送った。同ライブは30、31日に横浜アリーナで行われる。

 桑田は冒頭「ご苦労が多かった年と思いますが、忘年会のような雰囲気でやりましょう。無礼講で」と呼びかけた。妻の原由子のことを「ウチの家政婦のハラ」とジョークで語るなど、観客を笑わせた。今年を締めくくるライブは、クリスマスと忘年会を合わせた楽しさであふれたが、桑田が神戸に立っていることにも大きな意味があった。

 9月10日と11日、桑田は東日本大震災で被害を受けた宮城県利府町で「宮城ライブ~明日へのマーチ!!」を行った。11日は大震災から半年の節目だった。食道がんを克服し、約1年6カ月ぶりとなる本格ライブでもあった。今回のライブはその宮城ライブ以来で、タイトルの「みんなで元気になろうぜ!!」は、宮城ライブで発した言葉だった。

 関係者は「体調も回復し、久々に年末のライブを行うことになった。横浜が本拠地の桑田が、同じ港町でやりたいということで神戸になった」と経緯を説明した。しかし、神戸は95年に阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けながら、復興を遂げた街でもある。苦難の年から、希望に満ちた新年への懸け橋となるライブ。自らも食道がんを克服したそんな思いを、桑田はサザンオールスターズの曲「私の世紀末カルテ」(98年)の歌詞を替えて表現した。ギター1本で、スポットライトを浴びて歌った。

 <歌詞>人生なんて何が起きるか分からんもんですなぁ

 阪神・淡路のことでは消えない傷もございましょう!?

 失ったものの替わりに学んだこともあるでしょう

 互いに持てる智恵を束ねて命を守りましょう!!

 元気にいこうぜ!!

 アナタもアタシもこの国も

 長き道のりになるにせよ

 楽しい人生であるために

 27曲を歌い終えた桑田は「震災があって大きな爪痕が残っていますが、新しい年が笑顔で迎えられれば」と話した。【笹森文彦】