世界的な指揮者小澤征爾さん(76)の事務所は7日、小澤さんが来年2月末までに指揮をする予定だった国内外の公演をすべて降板すると発表した。2010年の食道がん摘出手術後、3回にわたって肺炎と診断され、低下した体力の回復に専念するとしている。

 事務所によると、今月17日から横浜、名古屋、大津の各市と東京都で、小澤さんが指揮をする予定だった歌劇「蝶々夫人」の公演は中止。5~6月に予定していたイタリア・フィレンツェでのオペラ公演や、6月のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との公演も降板する。今夏、長野県松本市で開催されるサイトウ・キネン・フェスティバル松本には総監督の立場で参加する。講演など指揮以外の活動は続ける。

 小澤さんの主治医は「がんの再発、転移などは一切認められず、肺炎も問題なく治癒している。しかし音楽活動の傍らのリハビリでは、本来の指揮活動を行うに十分なまでに体力が回復することは困難」としている。小澤さんは「大変つらい決断だった。1年間は体力をつけるためのリハビリと食事療法に励みたい」とのコメントを出した。