<連載「気になリスト」(50)>

 アイドル戦国時代で、ガツガツしていないアイドルがいた。荒川ちか(14)。12年12月結成の4人グループ、乙女新党のメンバーだ。グループのキャッチコピーも「わたしたちが日本を元気にします!…できる範囲で。」と緩めだが、最年少の荒川は「アイドルってぶっちゃけ、苦手」と言ってしまう。「ボクはアニメが大好きで『声優寄りのアイドルだから』と言われてグループに入ったんです。歌もお聴かせするほどではなく…。『ちかちゃん推しだよ』と言われても、ついボクは『〇〇○の方がお勧めですよ』とか言ってしまいます。推しが増えることはうれしいんですけど」。

 自分を「ボク」と言ってしまうのは兄の影響で幼少から「変わっている子」とみられていた。4歳でミュージカル「アニー」に憧れて子役になったが、小学校入学を前に転居した都内の自宅近くにあった芸能事務所を発見。「(看板の)イチゴマークがかわいい。ここに入ろうよ」と母親にせがみ、現在の事務所に移籍した。小3で「オーディションは印象に残ることを1つ言わなきゃ通らない」と悟り、突拍子もないことを口走るように。今は「特技はアニメを1・3倍速で見ることです」が決め文句だ。

 実はアイドル以前に女優として高評価を得ている。11歳でロシア映画「ヤクザガール」に主演し、ルーマニアの国際映画祭で主演女優賞を受賞。昨年公開の映画「東京家族」では、山田洋次監督に愛くるしさを認められ、家族と離れて暮らす主人公(橋爪功)の隣に住みながら面倒を見る少女を演じた。「女優はいろんな人になれるので面白い。ロシアでは監督に『日本のアニメはすごい』と言われて、ボクもアニメ好きになりました。声優学校に通って、今ではお仕事もいただけるようになりました」。

 学校生活も含めて多忙でアイドル重視といかないのが現実。ただ、アイドルの喜びを感じる瞬間もある。「お手紙をもらえた時です。すごくうれしくなります」。芸歴10年、女優兼声優の14歳はマイペースでアイドルを続けていく。【柳田通斉】

 ◆荒川(あらかわ)ちか

 1999年(平11)7月29日、神奈川県生まれ。03年、4歳でCM出演して芸歴スタート。ドラマは08年日本テレビ系「東京大空襲」や11年NHK連続テレビ小説「おひさま」など。映画は13年「東京家族」など多数。目標は女優兼声優の戸田恵子。趣味はアニメと読書でアニメは週15本を視聴、本は調子がいいと1日1冊のペースで読む。血液型A。