ゴーストライター問題の渦中にあり、現在の全聾(ろう)状態をウソだと告白した作曲家佐村河内(さむらごうち)守氏(50)が7日、都内のホテルで会見を開いた。冒頭は謝罪に徹したが、手話を見ないで発言したことを指摘されると瞬時に逆上。さらに、同氏のゴーストライターをしていたと告白した作曲家新垣(にいがき)隆氏(43)を「訴える」と宣言するなど、攻撃的なコメントを続けた。

 瞬間、佐村河内氏の表情が変わった。自分のしたことへの謝罪を求めた作家神山典士(こうやま・のりお)氏をギロリとにらみつけ、「どういうことですか?

 はあ?

 あなたに謝ればいいってことですか」と不快感を示した。

 言葉のキャッチボールは、佐村河内氏が正面にいる手話の通訳を見る間も置かず、通常のスピードで進んだ。間髪入れず神山氏から「まだ、手話通訳が終わっていませんよ。もう、目と目を見て話しましょう」と促されると、ムスッとして「ふざけたことはやめてください。科学的検査は出ているじゃないですか。もう、質問は結構です」と吐き捨てるように言った。

 冒頭は新垣氏に代作させていたことや、全聾と偽っていたことの謝罪に徹した。だが、聴力についての質問が続くと、怒りを抑えきれないように言った。「どうしても違うことは違うと訴えたい。新垣さんが、私が普通に会話していたと言っていましたが、それはありません」。

 次第に口調も攻撃的になった。「(新垣氏は)曲のテープが出来上がった後、私が聴いて曲を直したこともあると言っていますが、1度もありません」。記者から「新垣さんがうそをついているのか?」と確認されると、「はい。新垣さんを名誉毀損(きそん)で訴えます」と宣言し、会場をどよめかせた。

 その後も、聴力に関する質問は続き、「質問の途中にもかかわらず、返事をしていますが」と指摘されると、うんざりした顔で「後から、ビデオで検証してください。私は手話通訳を見たタイミングで『はい』と答えているだけです」。これも強い口調だった。

 攻撃のやいばは、広島市内に住む妻の母にも向けられた。「曲の指示書の筆跡は娘のもの」「16年間音信不通」という義母の主張に対し、「うそ八百です。妻は義母を訴えると言っています」と言い放った。

 自身の聴力については「『感音性難聴』です。音は聞こえますが、耳の中で音がゆがんでしまう。手話通訳が必要です」と強調。「24歳くらいの時から左耳が聞こえにくくなって、1999年ごろには両耳がまったく聞こえないと感じました。ただ、3年ほど前から回復してきました」とこれまでの主張を繰り返した。新垣氏と話す時は、手話通訳を伴わず、口の動きを見て会話をする「口話」を行っていたと主張した。

 「謝罪会見」のはずが、結局は主張と反論を繰り返して終わった。言いたい放題の2時間40分。最後は、なおも質問を続けようする記者の発言を無視し、「申し訳ありませんでした」と頭を下げ、すっきりした表情で会場を後にした。