女優有村架純(21)が、人形アニメ映画「くるみ割り人形」(11月29日公開)の主人公の声を担当したことが7月31日、分かった。公開中の映画「思い出のマーニー」に続く声優挑戦。ハローキティで知られるサンリオが79年に製作した作品を、最新デジタル技術を使って作り替えた異色作。きゃりーぱみゅぱみゅ(21)らを手掛けるアートディレクター増田セバスチャン氏が監督に初挑戦。くるみ割り人形の声は松坂桃李(25)が演じた。

 アフレコを終えた有村が笑みを浮かべた。「すごく達成感があります」。声優は2作目だが、今回は人形の動きに合わせることもあって、芝居に近い感覚だったという。マイクに向かって、時に身を乗り出し、手を握り締めるなど、自然と体が動き、力がこもった。

 14歳の主人公クララを演じるにあたり、無邪気で天真らんまんなイメージを持って臨んだ。ところが、くるみ割り人形をネズミにさらわれ、人形の国に追いかけていく場面を演じるうちに「自分の中で(イメージと)声が合っているか、分からなくなってきた」といい、途中でイメージを整理したという。

 物語の中でクララは本当の愛に目覚め、大人の女性に成長する。「最後は声のテンションが違った。クララと一緒に成長したのかな」。増田監督からは「(演じる中で)物語を経験したんだよ」と言われた。作品にのめり込んだ手応えを得た様子だった。

 「くるみ割り人形」は、サンリオ辻信太郎社長が企画・脚本を手掛けた。手間のかかる実写の人形アニメのため、1日に3秒分しか撮れなかった。5年を費やして完成させ、79年に公開された。今回の作品は、昨年10月に発見されたネガフィルムの保存状態が良く、3D化が可能と判断。デジタル技術を駆使して新作として生まれ変わった。

 監督には、各国の若者にブームを呼び起こした「原宿KAWAiiカルチャー」の火付け役として知られる増田氏が起用された。ポップでカラフルな世界観が印象的なきゃりーのアートディレクターとして活躍中だ。今回は、全編948カットをデジタルスキャンして極彩色に仕上げるなど斬新な手法で個性を発揮。オープニングなどで新たなシーンを加え、完全に新しい作品に作り上げた。