【24年度大学ラグビー勢力図】3連覇帝京追う明治、早稲田 京産は例年にない充実

ラグビーの全国大学選手権は昨年度、帝京大が3連覇を達成した。今季も追うのは明治大、早稲田大の関東対抗戦勢と京都産業大、天理大の関西勢になるだろう。ゴールデンウイーク真っただ中の5月5日、京産大と天理大の練習試合が行われた。西の“頂上決戦”は、意外な結末に終わった。復活を目指す同志社大の記事とともにリポートする。

ラグビー

京産×天理リポート
春は想定外の大差

緑のジャージーの京産大、黒と赤が天理大。関西の注目の対決は大勢の観客が集まった(撮影・益子浩一)

緑のジャージーの京産大、黒と赤が天理大。関西の注目の対決は大勢の観客が集まった(撮影・益子浩一)

京都に強い日差しが照りつけた。

正午に始まった試合。ファーストスクラムは開始直後、天理大陣内であった。 京産大のフロントローは乳井大士(中部大春日丘)、李淳弘(大阪朝鮮)、川口新太(東海大大阪仰星)。

対する天理大は森仁之輔(東福岡)、寺西翔生(常翔学園)、松野楓舞(松山聖陵)。

フォワード(FW)8人を比較すると、昨年のリーグ最終戦(23年12月2日)から両校ともに5人が同じメンバーだった。

5カ月前は23-22の1点差で京産大が勝利。

新チームとなってから3戦目の天理大と、今季初戦の京産大の対決は今年もほぼ互角の戦いか。もしくは、実戦経験で上回る天理大がやや優位だろうか。

周囲はそんな目で見ていた。

ファーストスクラムを組んだ瞬間、例年とは少し違う印象を抱いた人は少なくなかったはずだ。

乳井、石橋、土永
辻野らの思いは

【2024年春~主な成績】

〈練習試合 5月5日、京産大神山〉

京産大 48-5 天理大

〈招待試合 5月5日、SAGAスタジアム〉

早稲田大 52―27 慶応大

〈亀岡ラグビー祭 4月28日、サンガS)

立命館大 47―17 同志社大

〈関東大学春季大会、4月28日〉

明治大 89―38 流通経済大 (八幡山)

帝京大 61―7 法政大 (帝京大百草)

◆昨季の全国大学選手権 決勝戦は帝京大(関東対抗戦1位)と明治大(同2位)の顔合わせとなり、34―15で帝京が大3連覇を達成した。準決勝は帝京大22―12天理大、明治大52―30京産大。早稲田大は準々決勝で28―65の大差で京産大に敗れた。

2024年1月13日、全国大学選手権決勝・帝京大対明治大 モールで明治を圧倒し、雄たけびを上げる帝京大のフランカー青木恵斗(中央)

2024年1月13日、全国大学選手権決勝・帝京大対明治大 モールで明治を圧倒し、雄たけびを上げる帝京大のフランカー青木恵斗(中央)

【今季の関東勢】

〈帝京大〉

下級生から主力だったHO江良颯がクボタスピアーズ船橋・東京ベイ、FL奥井章仁がトヨタヴェルブリッツ入り。顔ぶれが変わるFWを世代屈指のスターFL青木恵斗(桐蔭学園)が引っ張る。中部大春日丘から入学した1年生FL福田大和は、23年度高校日本代表から唯一「ジャパンTALENT SQUADプログラム」(大学生14人にエディー・ジョーンズHCら代表スタッフが指導)入り。台頭なるか。BKはSH李錦寿(大阪朝鮮)、SO/FB小村真也(ハミルトンボーイズ高)ら経験豊富。日本一を知るメンバーが今季もチームを引っ張る。

〈明治大〉

神鳥裕之監督の指揮4季目。伊藤宏明HCが退任し、OBでリーグワン東京ベイコーチとして昨季優勝に貢献した高野彬夫氏がHCを務める。大黒柱のSO伊藤耕太郎(リコーブラックラムズ東京)らが去ったが、ジャパン・タレントスコッド入りの2年生SO伊藤龍之介(国学院栃木)ら下級生も実力者ぞろい。CTB秋浜悠太(桐蔭学園)ら軸になる選手がおり、帝京の4連覇阻止へ筆頭候補になるだろう。

〈早稲田大〉

2019年度以来の大学日本一へ、4シーズン目となる大田尾竜彦監督の手腕に期待がかかる。新主将で2月の日本代表候補合宿にも名を連ねたHO佐藤健次(桐蔭学園)のキャプテンシーに期待がかかる。神奈川・桐蔭学園高時代は花園制覇。早くも大学屈指のBKとなった2年生WTB矢崎由高(桐蔭学園)らの素材を生かすチーム作りができるか。

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。