工事現場から五輪へ。リオデジャネイロ五輪に出場する7人制ラグビー男子日本代表が29日、成田空港からブラジルへ出発した。フィジー生まれのプロップ、副島亀里ララボウラティアナラ(33)が福岡の地方クラブ、玄海タンガロアで腕を磨き、万感の思いでリオデジャネイロに旅立った。

 09年の結婚を機に来日。普段は生活する佐賀で、フルタイムで道路や駐車場の工事現場で肉体作業にいそしむ。気温が40度近くになる夏の炎天下、液体の状態で約160度にもなるアスファルトを扱う。「上から下から暑い。夏はいつも6キロは痩せます」。妻子のために夏は毎日8リットルの水を飲んで働き、作業着を汚した。

 クラブの練習は毎週火曜日と金曜日だけ。それ以外は午前7時から午後5時までの仕事を終えた後、コーチからもらうメニューを1人、空き地でこなした。「どうしてもボールを使った練習がしたい時は、高校生と練習した」。FB五郎丸歩の母校・佐賀工高の練習に交ざり、高校生とパス練習をした。

 そんな中で出場した14年の長崎国体でのプレーが瀬川ヘッドコーチの目に留まり、わずか2年で五輪代表を手にした。「五輪のプロップでNO・1になりたい」。国内トップリーグでのプレーはかなわなかった。唯一のクラブ選手が、アマチュアの星になる。【岡崎悠利】

 ◆副島亀里(そえじま・かめり)ララボウラティアナラ

 1983年(昭58)6月1日、フィジー生まれ。09年に来日、トップリーグのチームでのプレーを希望も、外国人枠の制限で断念。その後13年に日本国籍を取得、14年長崎国体で優勝しMVP。玄海タンガロア所属。家族は日本人の妻と3男1女。190センチ、94キロ。