J2札幌のインドネシア人MFイルファンが5月17日の群馬戦で右太もも裏を負傷した。全治は3週間以上になる見込みで、6月中の復帰は厳しくなった。5月3日磐田戦で、インドネシア人として初めてJリーグ出場を果たすと、それから3試合連続出場。俊足を生かし切り札的存在になりかけていただけに、野々村社長は、この長期離脱を「彼の良さが出始めていたから、本当に残念だよ」と、悔しがっていた。

 札幌は13年から本格的な東南アジア戦略に踏み出した。選手獲得もその柱で、13年は「ベトナムの至宝」FWレ・コン・ビンを獲得し、14年はオランダ育ちのインドネシア人MFステファノ、今季は甲府から「インドネシアのメッシ」ことイルファンが加入した。

 ビンは、8月に途中加入し、9戦2ゴールと活躍。ステファノはリーグ戦出場はなかったが、加入がきっかけで、インドネシアの強豪アレマ・クロノスとのクラブ間提携につながった。そして今季はツイッターフォロワー数400万件と言われる“ツイッター王子”イルファンの獲得。Jリーグ初出場の磐田戦後は、公式サイトにインドネシアからのアクセスがあり、クラブ職員も「これも効果ですね」と驚いていた。

 ただ札幌は、ブラジル人DFパウロンやコロンビア人FWナザリト、韓国人GKク・ソンユンと国際色豊かで、経費の関係で、東南アジア枠の選手に専属の通訳を置くことができない。練習中は、英語が堪能な李マネジャーが通訳を兼務することで対応しているが、取材現場となると状況が変わる。同マネジャーが忙しいときは、記者の“自力通訳”で話を聞き出さなければならない。

 当然、中途半端な英会話で取材はできないし、語学力は記者によって個人差がある。昨年、ある記者が、ステファノに曖昧な英語で取材を試みたが、意味がまったく伝わらず、インドネシア人のステファノに、うろ覚えの日本語で「ム、ムズカシイ~」と一蹴されたことがあった。今年も、イルファンに取材するため、ノートに英語で質問を書いて見せ、返答をボイスレコーダーに取り、後で翻訳アプリで訳し、原稿化するという“荒技”に出た記者もいた。そんな状況では、彼らの本心や、気持ちはなかなか伝わらない。

 イルファンは7月から再びピッチに立ち、初得点を決める可能性もある。単語を聞き取れれば、ある程度、理解できるが、可能なら彼の思いにより近い「声」を紙面で伝えたい。札幌市内で、ボランティアで定期的に通訳してくれるサッカー好きの方、どこかにいないだろうか。【永野高輔】


 ◆永野高輔(ながの・たかすけ)1973年(昭48)7月24日、茨城県水戸市生まれ。両親が指導者だった影響で幼少期からフェンシングをたしなむ。いとこが92年バルセロナ五輪出場、弟は93年高校総体優勝。自分は00年富山国体1回戦敗退。09年から札幌担当。