8月29日。一体何の日か分かりますか? 答えは、天皇杯1回戦が行われる日です。今年はサッカー漫画「GIANT KILLING」の主人公達海猛監督がポスターやプログラム表紙に起用されています。各都道府県代表クラブと昨季JFL優勝チーム、J1、J2が一堂に会するこの大会。下のカテゴリーのチームが格上チームを倒す番狂わせ「ジャイアント・キリング」は見どころの1つです。

 昨年も「ジャイアント・キリング」は、もちろんありました。2回戦で奈良クラブ(奈良代表)がJ1仙台を2-1で破りました。途中出場の奈良クラブFW岡山一成(37)が後半41分に右足シュートを決め、逆転。これは、前回大会のベストゴールにも選ばれました。

 当時、関西リーグ1部の奈良クラブから見ると、相手は4カテゴリーも上。岡山は仙台在籍経験もあり、まさに“恩返し弾”でジャイアント・キリングを成し遂げました。

 今季、奈良クラブはJFLへ昇格。「奈良からJへ」を掲げてJ3昇格を目指しています。第2ステージは、第7節終了時(8月2日)で5位。通算順位6位と奮闘しています。しかし、J3昇格にはホーム試合の平均入場者数が2000人を超えておく必要が…。徐々に増えていると言っても、まだまだ足りません。

 今年6月、奈良クラブはG大阪と練習試合を行いました。日本代表に招集されていたGK東口、DF丹羽、FW宇佐美は不在でしたが、元日本代表のMF遠藤と今野がダブルボランチを組み、ほぼ“ガチメンバー”。45分×2本と30分1本で行われたこの試合は、奈良クラブがMF柳田優介(23)の決勝弾で勝利しました。またも「ジャイアント・キリング」を成し遂げました。

 このとき、岡山はG大阪サポーターに向かって「奈良にも見に来てや~」と必死の広報活動。「こうやって、僕たちがG大阪のようなチームにたった1回勝つことで、もしかしたら奈良クラブに興味を持ってもらえるかもしれへん。おっきなチャンスやねん」。実際「また見に行くな」とG大阪サポーターから声をかけられたそうです。

 天皇杯は、そういう意味でも、一気に知名度を上げるにはうってつけ大会。続々と各都道府県代表も決まってきています。奈良代表が決まる決勝は8月23日、奈良クラブ対天理大学(橿原)です。今年の天皇杯はどんな「ジャイアント・キリング」が見られるのでしょうか。【西日本サッカー担当=小杉舞】


 ◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を経て14年、大阪本社に入社。1年目の同年11月からサッカー担当。今季の担当クラブはG大阪など。日焼けしすぎました。