ハリルジャパンのW杯アジア最終予選に日本中が注目し、その1週間が終わった。6日のイラク戦では日本代表MF山口蛍(26=C大阪)の劇的弾に沸き、11日のオーストラリア戦では惜しくもドロー。全10戦の折り返しとなる11月15日のサウジアラビア戦(埼玉)は絶対に勝ちたいところだ。

 「W杯アジア予選」に臨むのはA代表だけではない。13日に開幕したU-19(19歳以下)アジア選手権バーレーン大会。来年5月に開幕するU-20W杯韓国大会の出場権を懸け、若きジャパンが負けられない戦いに挑む。今年のU-19代表は20年東京五輪世代。世界での経験値を積むには、U-20W杯に絶対に出場しなければいけない。それでも、現状日本は4大会連続で出場を逃している。多くのプレッシャーがのしかかる中、結果だけが求められる。

 一足先にW杯出場を決めたのが、スペインの名門バルセロナの下部組織でプレーしたFW久保建英(たけふさ、15=東京U-18)率いるU-16代表。U-17W杯出場決定の知らせを受け、虎視眈々(たんたん)と闘志を燃やしたのが、G大阪のU-19日本代表でエース候補のMF堂安律(どうあん・りつ=18)だ。

 9月28日、今大会に臨むU-19代表メンバーが発表された。堂安はポツリと言った。

 「U-17W杯、自分らは出られへんかった。予選の時、自分はサイドバックで出てて。勝たせることができなかった。悔しい思いを持っている。(U-16代表の)久保くんはチームを勝たせる選手。試合を見てたらワクワクするし、不安がない。自分も勝たせる選手にならないと」

 世界が注目する久保は、飛び級でU-19代表招集の可能性もある。それでも、堂安は「一緒にやりたいですよ。バルサ(バルセロナ)の話も聞きたい。バルサめっちゃ好きなんで。ピッチでは同じ立場やけど、自分がこの世代の『勝たせる選手』。俺が点取って、アシストしてゴールに絡んでいく」と、堂々とエース宣言した。

 バーレーンでは最長で約1カ月の滞在となる。18歳の高3MFは旅のお供に「ご褒美を持って行く」とニヤリ。ラーメンが大好きという堂安は「試合に勝って、ゴールしたらカップラーメンを食べる」。自ら「にんじん作戦」を打ち出し、モチベーションを上げていた。

 日本の初戦は14日。イエメンと1次リーグを戦う。「俺らは東京五輪世代。圧倒的な力で優勝したい。ベストを尽くします」。終わってみれば「堂安の大会だった」と言われるよう、18歳は決戦の時を待っているに違いない。【小杉舞】


 ◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同年11月からサッカー担当。今季の担当はG大阪など関西圏クラブ。甲子園球場での売り子時代に培った体力は自信あり。