来年のリオデジャネイロ五輪を目指すU-22(22歳以下)日本代表が、五輪アジア1次予選を兼ねるU-23アジア選手権予選に向けた壮行試合で、U-22ミャンマー代表に大勝した。

 手倉森誠監督(47)が被災地にゴールラッシュをささげた。前半だけで7発も神妙な表情だったが、後半6分にFW鈴木が好連係から4点目を決めると、思わず笑顔で拍手。同32分にはMF吉野を投入して陣形を4-4-2から4-3-3に変えるなど、国内初戦で柔軟な采配を披露した。残り30分が無得点だったことには「課題」と注文しつつ「3・11に試合できたことが収穫」と特別な日を振り返った。

 あの日から4年。東日本大震災の犠牲者を思って黙とうした。当時仙台を率いていた男にとって感謝の地・千葉。失った練習場所を提供してもらい、市原市のホテルに着いた日、フクアリを本拠とする千葉サポーターが「ようこそ市原へ 共に強い気持ちで勝ち進もう!」と紙に書いて迎えてくれた。再出発させてくれた場所に代表監督として戻り、大勝で恩返しした。

 試合前、ある映像をイレブンに見せた。タイトルは「知られざる英雄たち」。13年の復興祈念試合で作製した、復興に力を注ぐ人々に焦点を当てた物語だ。仙台市出身で、友人の家が津波で流されたMF吉野は「気持ちが高ぶった」。指揮官も「この日に試合する意義をすり込んだ。風化させないために」。点差が開いても、手は抜けなかった。

 会場のフクアリは、仙台時代に「復興のシンボル」として戦ったユアスタをモデルに建てられた。そこで就任後最多となる9発を贈り「自分は震災の起きた場所で生かされた人間。伝えていく使命がある。リオで歴史を変えるまで希望の光を放ち続けたい」。五輪でメダルを取るまで突き進む-。それが被災地を勇気づけると信じて。【木下淳】